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藪恵壹が見る阪神の助っ人戦線。
「当たり」を掴めない理由は?
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2019/08/26 20:00
現在二軍で調整中のソラーテ。打率.188と低迷する打撃に加えて、20試合で4失策の守備難も大きな課題だ。(成績は8月25日現在)
体制を整備し、成果を出す中日、広島。
僕はタイガースでの野球人生で、多くの外国人バッターを見てきました。その中でも、トーマス・オマリー、ジョージ・アリアス、マット・マートンあたりは別格ですね。ただ、彼らのようにアベレージも残せる強打者が何年かに1人ぐらいはいたものの、やはり期待外れの選手も多かったです。
この頃は代理人の売り込みに頼って獲得するのが当たり前でしたから、ある程度仕方なかったとも言えます。
でも今は違いますよね。スカウトを海外に駐在させることが当たり前で、良い選手を獲得して日本で活躍してもらうためには、球団のシステムがしっかりと整備されていることが大事になってきています。
ソイロ・アルモンテらの活躍で成果を出している中日ドラゴンズが良い例でしょう。デニー友利・国際渉外担当は経験も豊富ですし、森繁和・前監督(現・シニアディレクター)が自らドミニカ共和国のウインターリーグを視察に行くなど体制が整っています。
スカウトがしっかり見て、素材型の選手をまずは安く単年で獲得する。1年間やって結果を出せば年俸が上がって、条件も交渉できるわけですから、夢がありますよね。モチベーションにも繋がります。広島のカープアカデミーも、同じような効果を生んでいます。
阪神は代理人に頼らざるを得ない状況。
ところが阪神は、まず駐米スカウトが2人しかいません。これでは広いアメリカを到底チェックしきれませんし、お互いの情報交換も難しいですよね。それで、外国人選手の獲得を代理人に頼らざるを得なくなってしまっています。
代理人はとにかく高額の年俸を獲得しようとしますから、中日や広島のような「まず単年・低年俸でやらせてみる」システムは使えません。外国人バッターに“ハズレ”が多いと嘆かれている現状を打破するには、こういったシステムの面から改革をしていかなければなりません。
僕がメジャーにいたときにも、日本のプロ野球に興味を示している選手はいました。解雇とともに給料もなくなるメジャーと違って、プロ野球は年俸が保証されている点も魅力的なのでしょう。レベルが上がり、メジャーで活躍する選手も多くなってきた現在なら、NPBに行ってみたいと思っている選手も多いのではないでしょうか。
タイガースもそういった選手たちを見極め、取り込めるようシフトチェンジを図っていく時期に来ていると思います。