球道雑記BACK NUMBER
「攻撃的2番」にバントの選択肢は?
大味化する日本野球に抱く懸念。
posted2019/08/24 11:40
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
この場面が国際試合、たとえば東京五輪の決勝の舞台であったら世論はどうなっていたのだろうか。試合後、ひとりで考え込んでしまった。
8月13日、東京ドーム。北海道日本ハム対千葉ロッテの一戦。
6回表、0-1でリードされた千葉ロッテは、先頭の荻野貴司が中前安打で出塁し無死一塁のチャンスを作ると、打席に売り出し中の「攻撃的2番打者」レオネス・マーティンを迎えた。
7月26日に入団会見を行い、その当日に初出場。この打席まで17試合に出場し、68打数20安打、6本塁打、15打点、打率.294とセンセーショナルな“日本デビュー”を果たした新外国人選手。
一見、好機が訪れたようにも感じたが、結果として千葉ロッテはこの場面、何も動くことができなかった。
ロッテベンチが下した「強攻策」。
初球を狙ったマーティンの打球が一塁手・清宮幸太郎のミットに鋭いライナーとなって収まると、一塁走者・荻野が帰塁できず一瞬にして併殺が完成。千葉ロッテは絶好の同点機をつぶすことになったのだ。
この試合、この場面までの千葉ロッテのヒットはわずか2本だった。連打が期待できない展開を踏まえれば、まずは同点。ここは送りバントが定石に思えた。
だが、千葉ロッテベンチが出した答えは「強攻策」。結果としてこれが仇となった。
この場面、ベンチが「強攻」に出たのにはひとつの伏線があった。