球道雑記BACK NUMBER
「攻撃的2番」にバントの選択肢は?
大味化する日本野球に抱く懸念。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/08/24 11:40
強打者マーティンを2番に置いた戦術は、相手に与える脅威と同時に自分たちの選択肢を狭める危険性もはらんでいた。
一発長打、攻撃的2番もいいが……。
当然、そうした中から生まれたスーパープレーが多くの感動を与える。
実際、このプレーが飛び出した直後、東京ドームはトヨタ自動車応援席の割れんばかりの拍手と、チャンスが潰えたJFE東日本応援席のため息で球場内のボルテージは頂点に達した。一発長打や派手な得点シーンばかりが野球の醍醐味ではない。その証明と言えるシーンだった。
年間143試合を戦うプロ野球と、トーナメントが主になるアマチュア野球ではそもそも戦い方が違うと言う意見もある。果たしてそうだろうか。
人間は習慣の生き物である。143試合、大味な戦いを続けた先に光はあるのか? 少し大袈裟だがそんなことまで考える。
東京五輪の開幕まで1年を切った。
「攻撃的2番打者」と言えば聞こえはいいが、ひとつ間違うと野球がどんどん大味になる懸念もある。見逃してしまいがちなワンシーンに野球の行く末を案じた。