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アメリカ名門大学での陸上と勉強。
岡田健が体感した部活の日米差。 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/08/21 18:00

アメリカ名門大学での陸上と勉強。岡田健が体感した部活の日米差。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

アメリカ屈指の名門大学で学ぶとともに陸上部に在籍した岡田健。競技から社会人生活へと移行する。

日本選手権で競技生活に終止符。

 苦労の甲斐あって、無事に卒業。

 そしてもうひとつの目標である東京オリンピックに向け、6月下旬の日本選手権に照準を合わせ、日本に帰ってきた。

「帰国してから立ち眩みがしたり、貧血気味でした。ポイント練習も外すことが多く、ひとりで自分を追い込むのはなかなか難しいですし、あまり自信がないままに日本選手権を迎えました」

 予選1組で走った岡田は、9分15秒90で9位。残念ながら決勝に進むことはできなかった。

 この結果を受け、岡田は競技生活に終止符を打つことにした。

「バークレーのユニフォームを着て日本選手権を走れたのは良かったんですが、やはり結果を残さないといけないですから。競技を続けるだけが目的ではないので、10月からは日本の企業で働き始めます」

バークレーで学んで成長できた。

 日本とアメリカで部活動を体験した岡田には、競技生活を振り返る時に、「もしも日本で走っていたら」という仮定が成立する。

「どうでしょうね……。日本の大学で走っていればインカレ、箱根駅伝を目指して、今よりも競技力が高かった可能性はあると思います。5000mのタイムについては、きっと良かったでしょう。その意味では、競技だけを優先させるならアメリカで勉強することは遠回りだったかもしれませんが、総合的な視点から見るのであれば、バークレーで学んだことで、人間的には大きく成長できたと思います」
 
 箱根駅伝は、2024年に開かれる第100回大会に向けて、様々な思惑が渦巻いている。しかし、関東の大学で走ることばかりが長距離を続ける選択肢ではない。

 それを岡田健は身をもって示した。

 UC  Berkeleyという名門校で身につけた教養、そして個人を重視する陸上のコーチングに触れた体験は、若者には計り知れない財産となっただろう。

 可能ならば、それを日本の共有財産に出来たらと思う。

 ひとりの競技者の終止符に、拍手をおくりたい。
 

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