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アメリカ名門大学での陸上と勉強。
岡田健が体感した部活の日米差。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/08/21 18:00

アメリカ名門大学での陸上と勉強。岡田健が体感した部活の日米差。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

アメリカ屈指の名門大学で学ぶとともに陸上部に在籍した岡田健。競技から社会人生活へと移行する。

日米での競技環境の違いとは?

 岡田が、日本の高校生に「アメリカで競技生活をするという選択肢もあるよ」と気軽に勧めないのは、この時の体験があるからだ。

 それでも学年が上がるにつれ、英語も飛躍的に上達し、ストレスが少なくなってくる。競技ではコーチの勧めによって、3000m障害に取り組むようになると結果が出始めた。

 アメリカの競技環境は、日本と比較するとどんな違いがあるのだろうか。

「日本の大学で競技をしたことがないので単純な比較は出来ませんが、最大の違いは、NCAAのルールで、コーチが選手を指導できる時間が、1週間に20時間以内と決められていることです。その意味で、選手はコーチに束縛されることはありませんし、フラットな人間関係がベースにあり、自己管理することが求められます」

 練習メニューもコーチと選手が相談しながら決めていく。

「1週間の始まりに、コーチと相談をします。この日はテストの準備があるので、少し軽めにしたいので、他の日に負荷をかけようとか。なので、みんなが一緒に同じ練習をすることはありませんし、ひとりひとりの人間としてコーチに見てもらいます。

 専門的なことでは、アメリカでは1週間の走行距離を重視しますね。それをベースにして強化プランを立てるのですが、個人の体調を考慮しない部分もあるので、ノルマを達成するために調子が悪くなってしまうこともありました。一度、風邪をひいていた時に『なんとかなるだろう』と思って練習したら体調を悪化させてしまったことがあり、その時はものすごく怒られました」

最大目標は東京五輪だった。

 アメリカで学び、走ることの先には東京オリンピックに出場するという大きな目標があった。

「ちょうど世界ユースに出場した高校2年の時に開催が決定し、オリンピックに出場することが最大目標になりました。アメリカでしんどい時も、オリンピックという目標があったからこそ、ずっと続けることが出来たんです。今年の日本選手権で結果を残し、強化指定選手に選ばれれば競技を続けようと思っていました」

 日本選手権への強化期は、卒業を前にした学業の追い込みと重なった。

「1、2年の時は英語力のことも考え、わりとやさしめの単位を取っていたので、その分、4年の最後まで授業の方はハードでした。4年間を通じて、シーズンが深まってくると調子が落ちてくるのは、勉強がハードだったことと関連があったかもしれません」

【次ページ】 日本選手権で競技生活に終止符。

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