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アメリカ名門大学での陸上と勉強。
岡田健が体感した部活の日米差。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/21 18:00
アメリカ屈指の名門大学で学ぶとともに陸上部に在籍した岡田健。競技から社会人生活へと移行する。
世界ユース選手権では8位入賞。
高校時代には5000mの自己ベストを14分21秒23まで伸ばし(東京都の高校歴代15位)、インターハイ、全国高校駅伝はもちろんのこと、高2で出場した世界ユース選手権の3000mでは8位入賞を果たした。
「日本の高校では5000mで13分台の選手が時として出ますよね。アメリカではまず考えられないです。全国高校駅伝を目指すチームが多いので、強い集団をつくるのに日本の高校は適していると思います。久我山で幸いだったのは、2学年上に打越先輩(雄允/ボイジステイト大学→大塚製薬)がいたことです。
打越先輩とはスピード練習を一緒にすることが多かったんですが、先輩が世界ユースに出場して、アメリカの大学からの勧誘を受けていました。打越先輩からは『岡田も海外目指せるんじゃないの?』と言われ、アメリカという選択肢もあるんだな、と感じてはいました」
大学進学は、当然のことながら関東の大学からも勧誘があったが、高校3年の春にアメリカへの進学を決める。
カリフォルニア大学バークレー校である。
名門大学のハンパない宿題量。
UC Berkeley といえば、アメリカ人なら「ああ」と誰もが知る大学だ。研究者からは22人のノーベル賞受賞者を輩出し、有名な卒業生、在籍者には、
スティーブ・ウォズニアック(アップルコンピュータの共同設立者)
グレゴリー・ペック(俳優)
マット・ビオンディ(競泳)
ジェイソン・キッド(バスケットボール)
アレックス・モーガン(女子サッカー)
らがいる。
また、映画『フィールド・オブ・ドリームス』の冒頭、ケビン・コスナー演じる主役が在学したことを示すワンカットもあるが、1970年代は学生運動が盛んな学校だった。
そんなバックグラウンドを持つ名門に入学してからは、苦労が続いた。
「当たり前のことですが、すべて英語で生活するので、逃げ場がなかったです。英語が下手なので、出来るだけコミュニケーションを取りたくないと思っていた時期が長く、自分で勝手に孤立して、疎外感に悩むような時期がありました」
授業に向けての宿題もハンパなかった。
「次の授業までに教科書を何十、何百ページと読んでいくのが前提なので、本当につらかったです。睡眠不足になって練習に影響も出ました」