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子どもを“追い込まない”環境を!
ドイツサッカー界で進む育成改革。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/18 11:50
ドイツは2018年ロシアワールドカップでグループリーグ敗退し、育成改革をさらに加速させている。
U-6、U-7年代への抜本的な改変。
具体的にはU-6、U-7では16mx20mのピッチでミニゴール4つによる2対2の試合と25mx20mのピッチでミニゴール4つによる3対3の併用。2対2の試合形式に関してはすでにベルギーで実施されており、その効果が発表されている。
U-8、U-9では25mx20mのピッチでミニゴール4つでの3対3と40mx25mのピッチでフットサルゴールか少年用ゴールを置いての5対5の併用、そしてU-10、U-11では40mx25mでの5対5と55mx35mのピッチで少年用ゴールを置いての7対7の併用が実施される模様だ。
こうしたU-12までの育成、特にU-6、U-7年代への抜本的な改変を見せる動きはドイツだけではない。現在FIFAランキング1位のベルギーもそうだし、育成大国であるスペイン、近年数々の優秀な若手選手が育ってきているイングランド、オランダ、フランスもとても力を入れている。イタリアやポルトガルだって負けてはいない。クロアチア、ポーランド、スイス、オーストリア、デンマーク、スウェーデン、アイスランドといった国からも多くの素晴らしい選手が出てきている。逆にいつまでもここが整理されないと、近い将来大きな差が生まれてくるのだろう。
大人のサッカーの縮図ではありえない。
子どもにおける試合は、子どもに合わせて考えられなければならない。子どものサッカーとは大人のサッカーの縮図ではありえないし、小学生のサッカーは中・高生のそれとも分けて考える必要がある。ただし、別々のものととらえるわけではない。そうではなく、小さな子供から小学生、中学、高校、そして大人のサッカーと同じビジョンで同じ方向性で取り組んでいくために最適化するべき、ということだ。
子どもが無理をすることなくいつでも思いっきり練習できて、思いっきり休めて、思いっきり試合に夢中になれる環境を作り出すことができたら、子どもたちはどんどん自立をして、しっかりと着実に成長していくことができる。
「かつてはこうだった」と今私たちが過去と比べて話し出すように、将来の私たちは今の自分たちを「かつて」として語るだろう。だからこそ今から将来を見据えて、動き出すことが大切なのだろう。何年後かに自分たちの歩みを振り返ってみたときに、「かつてはこうだった」と誇れるような取り組みを今からしていきたいものだ。