ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
開幕戦圧勝のマンU、急激な若返り。
102億円DFにギグスも驚いた韋駄天。
posted2019/08/16 11:40
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
イングランド・プレミアリーグ、2019-20シーズンの開幕カードで最も注目を集めた一戦が、いきなりの「ビッグ6対決」となったマンチェスター・ユナイテッド対チェルシーだった。
チェルシーの新監督、フランク・ランパードがどんなサッカーをするのか、そこに注目して試合を見始めたのだが、自然と目を奪われたのは、対峙する「赤い悪魔」の方の“新顔”だった。
この夏、レスターからDFの移籍金歴代最高額となる8000万ポンド(約102億6000万円)でやってきたセンターバックのハリー・マグワイアが、いきなりユナイテッドの守備陣を統率し、ランパード・ブルーズの縦に速い攻撃をすべてシャットアウトしたのである。
ビッグクラブでのプレーは初挑戦。だが、すでにイングランド代表では守備の中心を担っているだけあって、浮き足立つことなく、デビュー戦とは思えぬ安定感を見せ、彼はいきなり守備の中心として君臨していた。
カウンター前のボールを奪う秀逸さ。
「あいつのことは『ザ・ビースト』と呼んでいるんだ」
ポール・ポグバがそんなことを言っていたが、まさにニックネーム通りのフィジカルを発揮し、あらゆるロングボールをヘッドで跳ね返し、地上戦でも力強いマーキングでボールを次々と奪い取った。ドリブルで抜かれたシーンは一度もなく、それに加えて鋭い読みでこの試合最多のインターセプトも記録した。
ユナイテッドが4-0で勝利したこの試合の65分、勝負の行方を決定付けた2点目のゴールは、マグワイアがチェルシーのFWタミー・アブラハムをタイトなマークで封じ、ボールを奪ったところから発動したロングカウンターだった。
マーカス・ラッシュフォードがボールを運び、右で受けたアンドレアス・ペレイラのクロスに、アントニー・マルシャルが合わせた。
この場面を筆頭に、この日はとにかくユナイテッドのカウンターアタックが冴え渡っていたが、その前段となる肝心の“ボールを奪う”プレーを支えていたのは、間違いなくマグワイアだった。