“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
炎天下の連戦が続く日程に危惧の声。
見直すべきインハイサッカーの運営。
posted2019/08/10 09:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「インターハイはなくしたほうがいい」
近年、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、真夏の炎天下におけるスポーツに対して見直すべきだという声が多く挙がっている。
その声には筆者も賛同している。
サッカーで言えば、日が昇っている時間にキックオフをしたり、1回戦から決勝までが僅か7日間で行われるレギュレーションは過酷とうよりも、最悪な結末をもたらしてしまうのではないかという恐怖さえ感じる。
3連戦をして、1日休み。そこからまた3連戦。しかも1回戦から3回戦までは9時半と12時どちらかのキックオフ。準々決勝から準決勝まではすべて9時半キックオフで行われるが、決勝は気温が高い13時のキックオフだ。
1日で最も気温が上昇する時間帯で連戦をするのだから、選手への負担は大きなものだろう。
「試合開始を24時間空ける」という観点から、1~3回戦に関してはそれぞれの高校にとってすべて同時間でのキックオフとなるため、当然12時キックオフが続く高校の選手にかかる負担は大きい。9時半キックオフで3回戦まで戦ったチームと比べ、準々決勝と準決勝に関しては疲労度と休息時間が短くなってしまった。
加えてここまで過密なスケジュールだと、1回戦から戦うチームと2回戦から登場するチームとでは疲労度も異なる。決勝に進出した両チームがいずれも2回戦からの登場だったことは、まったく無関係とは言えないだろう。
控えのフィールドプレーヤーは5人。
登録人数も議論の余地がある。予算の都合上、インターハイの登録メンバーは17人だ。つまりベンチメンバーは6人のうち、GKが1人とすると、フィールドプレーヤーはたった5人しかいない。連戦が続けば続くほど、怪我人やコンディション不良が出てくるが、控え人数が少ないがゆえに選手をフル稼働させなければいけない。スタッフ陣のマネージメントの難しさも生じてくる。
いずれにせよ、それぞれのチームが難しい環境下での戦いを強いられたのは間違いなかった。プレーヤーズファーストを唱えるならば、インターハイをなくすべきだという意見も十分に理解できる。だが、物事はそんなに簡単にいくものではない。