“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
炎天下の連戦が続く日程に危惧の声。
見直すべきインハイサッカーの運営。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/08/10 09:00
猛暑のなか、沖縄で行われたインターハイサッカー競技。大会側も対策を講じたが、レギュレーションについての議論は重ねていく必要があるだろう。
給水タイムに、巨大扇風機の設置。
もちろん大会開催側も最大限の努力をしている。
時間はこれまでずっと35分ハーフと変わらないが、前後半の折り返し時点(前半・後半17~18分あたり)に3分間、日陰のベンチに戻って水分補給やユニフォームを脱いで身体を冷やせるクーリングブレイクを必須とした。さらに本部に設置するWGBT(暑さ指数)の測定器の数値が31.5度を超えた場合は、前後半の終了間際に1分間の飲水タイムを設けた。ベンチには巨大扇風機や送風機を設置し、選手のケアに努めた。
だが、逆に言えばそこまでしなければいけない状況で、インターハイをこなさなければいけないのかという疑問も生じる。筆者は18歳から24年間インターハイを現地取材しているが、間違いなく取材する側も相当な負担を強いられ、それは年々大きくなっている印象を受ける(筆者自身が歳を重ねてしまっていることもあるが……)。今年の沖縄インターハイも軽い熱中症にかかってしまった。
ナイター開催の場合の課題は?
大会期間中の7月31日、9時半キックオフの準決勝・富山第一vs.尚志を取材したあと、ふらふらになりながら、19時キックオフのJ2第25節のFC琉球vs.ジェフユナイテッド千葉の取材に向かった。17時半くらいまでは強烈な日差しが照りつけていたが、18時を過ぎると日が落ち始め、どんどん快適な気候に変わっていった。試合が始まった19時以降は暑さを感じることはほとんどなく、ピッチサイドでカメラを持っていても負担はなかった。
沖縄の人ですら「日中にサッカーなんて激しい運動はするべきではない」と口を揃えるなか、13時キックオフの那覇西vs.徳島市立の交流試合を取材したとき、地元の那覇西の選手たちが暑さで運動量がガクンと落ちていたのが印象的だった。
7日間で6試合というレギュレーションを動かせないのであれば、インターハイのナイター開催だってあるだろう。これは近年、ずっと言われている案だ。
当然、ナイターにするには開催費用が嵩むし、照明灯完備のグラウンドをすべて確保できるとは限らない。しかも、補助員として大会運営を支えてくれる地元の高校生たちも夜遅くまで拘束させてしまうことにもなる。
簡単にはいかないのは理解できるが、何度も言うように不幸な被害者が出てしまってからでは遅いことだけは強調しておきたい。