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経済的理由で辞める選手を減らせ。
仙台大が“クラファン”で天皇杯遠征。
text by
平野貴也Takaya Hirano
photograph byGetty Images
posted2019/07/24 11:45
クラウドファンディングを使って天皇杯の遠征費を募った仙台大学サッカー部。横浜FCとの一戦は惜敗に終わったが、その意義は大きかった。
部活動の価値を数値化すること。
しかし、この企画が仙台大が今後仕掛ける試みの1つに過ぎない点は、注目に値する。
元々、今回の企画は吉井GMが「SPORTEC」というスポーツ関連会社の展示会に足を運んだことがきっかけだった。
プロクラブの価値を数値化するという事業に興味を持ち、部活動の価値を数値化できれば、ユニフォームの胸スポンサーを募って活動資金を獲得できるのではないかと考えたという。
そこで地元の銀行に、部活動の価値を計算してもらえる企業が地元にないか聞きに行った際、該当する企業は分からないが、クラウドファンディングという選択肢があると勧められたのだ。
さらに、それ以前には2010年に神戸ウイングスタジアムに導入したことで知られる床発電(振動力発電)に興味を持ち、練習場に設置できないかと実験を繰り返し、エコプロダクツ展に2010年から'12年まで出展。「当時は、フットサル1面に用意するだけで2億円もかかり、回収に400年かかる試算(笑)で諦めた」(吉井GM)ために実現しなかったが、可能性を探っていたという経緯もある。
経済的理由で辞める選手も多かった。
「元々、スポーツの活動にはお金がかかるので、それを何とかできないかと考えていた。お金がかかるということが理由で辞めていく選手もいたので、どうにかしたかった。スポーツは、人が集まるし、人が動く。そこに価値があると認められれば、スポーツも社会に貢献できる」
以前から頭にアイデアを巡らせていた吉井GMの考えは、仙台大でもサッカー部のみならず、スポーツ局として広く捉えて活用していく構えだ。