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黒川淳史はライバル加入も大歓迎。
ステップアップではなく水戸でJ1へ。
posted2019/07/27 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
J2第23節、ホームでのFC琉球戦。水戸ホーリーホックの若きアタッカー、黒川淳史は実に11試合ぶりとなる今季4点目のゴールを挙げた。
「最近、少し停滞していた」
3-1で勝利を収めた後、黒川はゴールから遠ざかっていた時期を「停滞」と表現した。
黒川は2018年に育成年代から在籍していた大宮アルディージャを離れ、期限付き移籍で水戸にやってきた。2年目を迎えた今年は不動のレギュラーとして活躍し、4月に入ると第8節の徳島ヴォルティス戦、第9節のヴァンフォーレ甲府戦で2試合連続ゴールをマーク。チームの好調を象徴する若手の成長株として海外移籍の話まで浮上するなど、大きな注目を集めていた。
しかし、第12節FC町田ゼルビア戦を最後に10試合もゴールから遠ざかった。
7月には同学年FW小川航基らが加入。
J1昇格を目指す水戸は7月11日にセレッソ大阪から27歳のMF福満隆貴、14日にジュビロ磐田から東京五輪のエース候補であるFW小川航基、そして19日には湘南ベルマーレからMFレレウをそれぞれレンタル移籍で獲得したことを立て続けに発表した。
黒川にとっては一気にライバルが3人も増え、特に小川は同学年だ。このニュースは大きな危機感を抱かせるものだった。
琉球戦では今季4点目を挙げることができたが、2-1で迎えた57分に小川との交代を告げられた。その小川はいきなりゴールを決めるなど、ド派手なデビューを飾った。ライバルの強烈なアピールを目の当たりにしたあと「停滞」という言葉を耳にしたため、筆者は「危機感を抱いているのでは?」と投げかけ、彼の反骨心を聞き出そうとした。
しかし、彼の答えは予想していないものだった。