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経済的理由で辞める選手を減らせ。
仙台大が“クラファン”で天皇杯遠征。 

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平野貴也

平野貴也Takaya Hirano

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posted2019/07/24 11:45

経済的理由で辞める選手を減らせ。仙台大が“クラファン”で天皇杯遠征。<Number Web> photograph by Getty Images

クラウドファンディングを使って天皇杯の遠征費を募った仙台大学サッカー部。横浜FCとの一戦は惜敗に終わったが、その意義は大きかった。

遠征費の6割、応援団のバス移動も。

 吉井監督は、試合後の記者会見でこう手応えを話した。

「学生スポーツは、保護者の負担で成り立っているが、最近の経済情勢の中では、競技を続けることが難しくなってきている。天皇杯の2回戦に進めたことは嬉しいが、試合に行くのにも、応援に行くのにもお金がかかる。今回は、クラウドファンディングのおかげで大型バス2台による移動費をすべて賄うことができ、選手も金銭面の負担なく、すごく良いコンディションで戦えたので、感謝しています」

 選手とスタッフの移動費が51万2000円、選手とスタッフ28名分の宿泊費と現地でのバス移動費が60万240円、日帰り応援団の大型バス2台による移動費が58万9320円。合計170万1560円のうち、6割をクラウドファンディングで賄うことができた。

 今回は応援団の移動費が含まれている部分が大きいが、選手のみの移動でも全国大会などになれば負担は大きくなる。

学生スポーツ界で増える“クラファン”。

 この日、スタンドで応援に回っていたGK田桑龍輝(3年、浦和ユース出身)は「全国大会では1人あたり10万円近い負担になることもある。今回はバス代もチケット代も賄ってもらえて、支援してくれる人がいるという自覚を持つことができたし、結果を残したいという気持ちもいつも以上に芽生えたので、応援でも頑張りたい」とチームの活動を評価し、支援者に感謝を示した。

 クラウドファンディングを用いた活動費獲得の例は、増えている。2015年には京都大学男子ラクロス部が米国遠征の費用を募り、60万円弱を達成。2017年には北海道の離島にある奥尻高校が部活遠征費を調達するために実施し、160万円弱の支援を受けることに成功した。

 サッカー界でも昨年、筑波大学が公式ファンクラブを設立するための0期会員募集として活動費用200万円弱を達成している。クラウドファンディングによる遠征費の獲得は、例を見ない取り組みではない。

【次ページ】 部活動の価値を数値化すること。

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