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「最高峰のラグビー」のための決断。
決勝の地、日産スタジアムの芝管理。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byYuki Suenaga

posted2019/07/21 11:50

「最高峰のラグビー」のための決断。決勝の地、日産スタジアムの芝管理。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

ラグビーW杯決勝の舞台となる日産スタジアムでピッチ管理に携わる青木淳氏(左)と福岡正敏氏。葛藤と戦いながら、大会成功へ向けて全力を尽くす。

「名誉」は大会後でいい。

 9月20日の開幕とともに、ラグビーW杯の熱狂は全国に広がっていくだろう。いまはまだ控え目なメディアでの露出も、ジェイミー・ジャパンが勝ち上がれば加速度的に増えていくはずだ。1発勝負の準々決勝からは、大会の熱が最高潮に達するだろう。

 そうした盛り上がりから、福岡と青木は距離を置くことになる。胸のなかで広がっていく思いを、福岡は遠慮がちに明かした。

「日産スタジアムで7試合が行なわれ、準決勝と決勝の会場になるのは、とても素晴らしいことで、自分が携われていることは大変な名誉です。けれど、本当に名誉を感じるのは大会が終わって、『成功したね』と言っていただくことができてから。いまは重責を感じています。9月21日の第1戦をどのように迎え、11月2日の決勝戦までどうやってピッチコンディションを維持していくのか、それだけしか考えていません」

3大スポーツイベントの決勝は世界初。

 ピッチだけでなくスタジアム全体の改修と整備に関わってきた青木も、残された準備期間を慌ただしく過ごす。選手にも観衆にも快適な空間作りを使命とする。

「私たちの部署では、芝生を含めて色々な整備をしています。来年の東京五輪でも男子サッカーの決勝会場になっていますので、3大スポーツイベントの決勝をすべてやるのは日産スタジアムが初めてになります。まずはラグビーW杯で選手が思い切りプレーできる環境を整え、観客の方々に楽しんでもらえる大会にしたいですね」

 楽天的になることなく、悲観的になることもなく、あくまでも現実的に、それでいて理想は高く。11月2日の決勝戦が終わるまで、彼らは二度と経験できない時間を駆け抜けていく。

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