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「最高峰のラグビー」のための決断。
決勝の地、日産スタジアムの芝管理。
posted2019/07/21 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Yuki Suenaga
ラグビーW杯が開幕する9月20日、ラグビーファンと関係者の視線は東京スタジアムに注がれる。ジェイミー・ジョセフ率いる日本が、この日唯一のゲームとしてロシアと激突するからだ。
そんなメモリアルな開幕戦を脇に置いて、仕事に集中する関係者もいる。翌日以降に試合を控えるスタジアムでは、最終の確認作業が日本のゲーム中も続けられていくに違いない。
21日にニュージーランド対南アフリカ戦が行われる日産スタジアム(横浜国際総合競技場)では、ピッチを管理する福岡正敏が真剣な表情を浮かべているはずだ。新横浜公園(日産スタジアム)管理事務所の技術監理部緑管理課で、彼はスポーツターフ担当の肩書を持つ。
準決勝、決勝のビッグマッチの舞台に。
ラグビーW杯へ向けた福岡らの取り組みは、昨年6月を起点とする。サッカー日本代表がロシアW杯の壮行試合を戦った翌日に、ハイブリッド芝への貼り替えがスタートしたのである。天然芝と人工芝をミックスしたものが、ハイブリッド芝と呼ばれる。
日産スタジアムは'19年にラグビーW杯の、'20年に東京五輪のサッカー競技の会場となる。ラグビーW杯では2日連続のスケジュールを3回消化し、合計7試合の舞台となる。そのなかには、10月26日と27日の準決勝、11月2日の決勝戦が含まれている。
世界が注目するビッグマッチにふさわしいステージを整えるために、スタジアムを所有・運用する横浜市はハイブリッド芝の導入へ踏み切ったのだった。
横浜市の環境創造局公園緑地部で、会場整備課担当課長を務める青木淳が説明する。
「このスタジアムの天然芝は評価が高かったのですが、ラグビーW杯では連戦が続きます。芝生にとって過酷な環境になりますので、耐久性を考える必要がありました。(大会を主催する)ワールドラグビーや組織委員会から、海外で導入が進んでいるハイブリッド芝に貼り替えてみたらどうかというご意見をいただき、横浜市として実施しようということになりました」
イングランドで開催された前回大会でも、ハイブリッド芝のグラウンドが使用されている。'18年のサッカーロシアW杯で、開幕戦と決勝の舞台となったルジニキ・スタジアムも同様だ。