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テニス界の注目は大坂から15歳に!?
早熟選手のバーンアウトと出場制限。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2019/07/11 17:30

テニス界の注目は大坂から15歳に!?早熟選手のバーンアウトと出場制限。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

ウィンブルドンで快進撃を続けた15歳ガウフ。すでに特例での出場数拡大が認められたが若年層の規定には疑問視する声も……。

制限導入後も、バーンアウトは減ってない?

 1995年に導入された年齢制限のルールは、13歳でプロデビューして15歳のときのウィンブルドンでベスト4に進出しながら、のちに非行に走って10代で一度はコートを去ったジェニファー・カプリアティの事例が引き金となったといわれる。男子に比べて早熟の女子選手のバーンアウトを防ぐことが目的だ。

 しかし、こんなルールは意味がないという声もある。ルールを定めたあとも、バーンアウトらしき症状でトップ争いから脱落、あるいはテニスそのものから去った少女たちもいるからだ。

 15歳という年齢でのブレークで思い出す選手には、'05年の全仏オープンでベスト8入りした当時15歳9カ月のセシル・カラタンチェワがいる。その年のうちにドーピング違反で出場停止となり、29歳の今も現役だが、あの全仏以外にグランドスラムで2回戦を突破することはなかった。

 また、その前の年にはチェコのニコル・バイディソバが15歳3カ月でツアー初優勝を果たしている。その後、17歳で全仏オープンの準決勝に進出するなどし、世界ランクは7位までいったが、ツアーをフルに戦ったのは18歳だった2007年が最後になった。

ルール緩和を働きかけたフェデラー。

 若い選手を過剰に保護するよりは、より多くのチャンスを与えるべきだという意見の持ち主の一人はロジャー・フェデラーだ。「WTAにはルールを緩めるように言ったことがある」と明かした。

「僕は(マルチナ・)ヒンギスの幼い時代の活躍に憧れたし、出場できる大会の数を制限すれば、若い選手に逆にプレッシャーをかけることになるようにも思う。もしかしたら、その選手にとって最高の時代を奪っているとも言えるかもしれない」

 ヒンギスのグランドスラム・デビューは14歳3カ月の全豪オープンで、16歳の年にはグランドスラム全大会に決勝進出を果たし、うち3大会で優勝した。10代の間にシングルスだけで5つのグランドスラム・タイトルを獲得したヒンギスのような天才少女伝説は、今のルールの中では今後おそらくもう生まれない。

【次ページ】 ダベンポートは大坂の失速を指摘。

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