テニスPRESSBACK NUMBER
テニス界の注目は大坂から15歳に!?
早熟選手のバーンアウトと出場制限。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2019/07/11 17:30
ウィンブルドンで快進撃を続けた15歳ガウフ。すでに特例での出場数拡大が認められたが若年層の規定には疑問視する声も……。
ダベンポートは大坂の失速を指摘。
'99年にウィンブルドンを制した元世界1位のリンゼイ・ダベンポートは、大坂を引き合いに出してこう指摘する。
「ガウフは15歳だけど、メンタル的にも環境の面でもフルに戦う準備ができているように見える。一方で21歳の大坂なおみは、ナンバーワンのプレッシャーの中で何もうまくいっていない。彼女も10代のときに大会数を制限して保護されていたはずだけれど、結局こうなるなら意味がなかったというしかない」
大坂をバーンアウトの一例のように判断するのはまだ早いが、期待の大坂が失速したことは確かで、そのことがさらに若いスターを持ち上げようとする雰囲気につながっている。制限緩和の案が湧き出したのもそのせいだろう。
15歳ガウフ「自分のテニスを」
実際、WTAはガウフのジュニア大会でのずば抜けた成績を考慮し、すでに出場制限を14大会に広げる特例を与えた。ここまで7大会に出場しているため、来年3月の16歳の誕生日までにあと7大会に出場できるようだ。こうして大人たちがさまざまに画策する中、本人はむしろ地に足がついていて好ましい。
「たとえ年齢制限がなかったとしても、私は年上の選手たちほどたくさんの大会には出ないと思います。まだ今はトレーニングや練習をしっかりして上達することが必要だから。決められている数よりは多く出場したい気がするけど、やりすぎてもいけないし、今は時間をかけて自分のテニスを作っていきたい」
この落ち着き払った15歳は本物か。WTAがかつて固い決意で定めたはずのルールをも変えてしまうかもしれない少女が、このあと続くアメリカのハードコート・シーズンの大きな目玉になりそうだ。