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本拠地をフロリダとカナダで分割?
レイズの仰天案が意外とアリな理由。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/07/03 11:40
動員に苦しむタンパベイ・レイズ。モントリオールとの“ダブル本拠地”案は本当に実現するのか。
春から夏前はタンパベイ、その後は……。
エクスポズは当時、老朽化していたオリンピック・スタジアムを捨てて、トロントのような開閉式ドーム球場の建設を試みた。
しかし高額な建設資金を捻出できないままオーナーシップがメジャーリーグの管轄となり、2004年に新球場建設を受け入れの条件としたワシントンD.C.に本拠地を移転させた。それが現在のナショナルズだ。
タンパもモントリオールも、高額の開閉式ドーム球場を建設するのは難しい。
ならば本拠地を分割して、春から夏前にかけては温暖なフロリダ州のタンパベイを本拠地とし、猛暑になる夏場からは比較的涼しい北国のモントリオールを本拠地として試合を行えばいい。
開閉式ドームではなく、普通の野球場なら建設資金を日本円にして500億円前後から300億円前後へと大幅に削減できるはずなので、2都市同時に新球場建設となるかも知れない。
新球場建設資金も運営資金も削減することで、長らく観客動員数が伸び悩み、本拠地移転も困難という危機に瀕しているレイズを救える。
長らくメジャーリーグ不在となっていたモントリオールも、メジャーリーグを復活させることができる。
それを「一石二鳥」と言えるのかどうかは分からないが、メジャーリーグはプロ野球であり、ビジネスだ。
伝統的な本拠地制度が崩れる懸念。
儲からないなら、何か手を打たなきゃならない。
「こうなったらヤバイから」とか「ああなったらマズイから」とかネガティブなことばかり考えても前には進まないので、「とりあえず、やってみる」。
立派な開閉式の球場を作ったマイアミ・マーリンズが観客動員に苦しんでいることを考えれば、新球場建設が経営状態の向上に繋がるとは限らないし、本拠地が分割される地元ファンの心情や、伝統的な本拠地制度が崩れるという懸念もある。
本来は1つであるべき本拠地を分割して、2つの都市が本拠地になる。
それで思い出したのは、大昔のロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)のことだった。