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Jリーグ広報が向き合うSNS新時代。
槙野智章は専属カメラマンも雇う!?
text by
吉田国夫(Jリーグ広報部)Kunio Yoshida
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/06/29 17:00
恩師ミシャ、チャナティップと肩を組む槙野智章(右)。SNSを積極的に使い、Jリーグの知名度アップに貢献している。
「サッカーの認知度を向上させるため」(槙野)
Jリーグの日本人選手で最もソーシャルメディアと積極的に向き合っているといわれる槙野選手に、その理由を聞いてみた。
本人曰く、ソーシャルメディアに積極的に発信することは「自身のブランドアップ」のためだけではなく、「サッカーの認知度を向上させるため」でもあるという。もっと多くの人にサッカーのこと、Jリーグのことを知ってほしい。ならば自分が日本代表にいるうちに始めることが重要だという思いが、専属カメラマンの起用というJリーガー初の試みに駆り立てた。
私は少しばかり意地悪く「試合のパフォーマンスが良くなかった時や、不甲斐ない敗北を喫した時などの投稿には、否定的なコメントが並ぶと思うけど」と聞いてみたが、槙野選手の決然とした返答に正直心を打たれた。
「ネガティブなコメントを受けることは、プロアスリートとしては避けて通れない。むしろそうした声も激励だと思って自分のパワーに変えている」
リスク管理はほぼ24時間体制。
一方で、誰もが自由に発信できる時代になったからこそ、チーム広報がこれまで以上に向き合わなければならないもうひとつの業務が、リスクマネジメントだ。これまでの広報であれば、いわゆるマスメディアから「取材依頼を受け、取材に立会い、原稿を確認して、公開される」というフローの中で、何度か内容を修正するチャンスがあった。
しかし、ソーシャルメディアのような自己完結型のメディアの場合、基本的にそのリスクに気がつくタイミングは発信後になる。もちろんデジタル媒体の特性である事後修正が比較的容易にできるというメリットはあるが、残念なことに、一度発信してしまった情報は第三者の手により保存され、そしてそれがスキャンダラスなものであればあるほど公開される可能性が高い。
レフェリー批判、先発メンバーの漏洩、サポーターへの苦言、不適切な画像の添付、著作権に抵触する恐れのある映像の発信など、著者自身も選手によるハッとする投稿を目にしてチーム広報に電話して修正を促すよう指示したことが何度もあった。
彼らが一度こうした問題に関わってしまうと、その知名度や影響力の高さから、一般の何倍もの速さと規模で拡散される。結果としてマスメディアに取り上げられ、ソーシャルメディア外の世界にも広がっていく。チーム広報は、そうしたリスクに対してほぼ24時間体制で臨んでいる。なんとも厳しい時代だ。