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浦和の“組長”大槻監督の気配り力。
仙台時代の教え子にも響いた「愛」。

posted2019/07/03 07:00

 
浦和の“組長”大槻監督の気配り力。仙台時代の教え子にも響いた「愛」。<Number Web> photograph by Getty Images

5月末にオリヴェイラ氏の後を継ぎ、浦和レッズを率いる大槻毅監督。就任時の言葉からは覚悟が窺い知れた。

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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 耳にかかるほどのさらっとしたナチュラルヘアがよく似合う。

 浦和レッズの練習場で指導する大槻毅監督は、自然体だ。試合ではツヤ出しの整髪料でばしっと決め、短く刈り込んだサイドを露出しているが、普段は髪を下ろし、トレードマークの“ツーブロック”も大人しい。「組長」、「親分」、「アウトレイジ」といったニックネームから連想する姿とはほど遠く、むしろ落ち着いた「相談役」と言ったところか。

 5月28日、オズワルド・オリヴェイラ監督からバトンを引き継ぎ、新監督に就任。昨季はシーズン途中に「暫定」監督として指揮を執り、公式戦6試合無敗のままヘッドコーチへ。今年3月にはヘッドコーチから海外クラブとのネットワーク構築推進プロジェクト責任者に配置転換となったが、リーグ戦4連敗と危機的な状況に陥り、再び緊急登板。

 中村修三GMから「大槻しかいない」と白羽の矢が立った。今季は暫定ではなく、腰を据えて指揮を執る。「どこまで長くなるか分からないが、責任がある」。就任時の言葉には覚悟がにじんでいた。

ACL逆転劇後でも「後押し」を強調。

 初陣となった14節の川崎フロンターレ戦ではアウェーで後半アディショナルタイムに追いつき、1-1のドローに持ち込んで連敗をストップ。続く15節のサガン鳥栖戦ではホームで終了間際に勝ち越し、2-1で劇的な勝利を収めた。ACLのラウンド16では第1戦のホームで蔚山現代(韓国)に1-2と敗れながらも、第2戦のアウェーで3点を奪い、見事に逆転突破。奇跡も三度続けば、もはや奇跡ではない。大槻レッズの底力だ。

 ただ、一度沈みかけた船を浮上させた指揮官は、自らの手腕については口をつぐむ。ゲーム中はベンチサイドで吠えまくっているが、試合後の記者会見場では淡々としている。鳥栖戦後に勝因を問われたときも、簡潔にさらり。

「選手の頑張りとファン・サポーターの後押しがあったから」

 選手個人の評価もしなければ、戦術、采配についての質問もあっさりとかわす。表では多くを語らないが、ロッカールームではとにかく熱い。選手たちは口をそろえて熱血漢と評する。日本代表を含め、多くの監督のもとでプレーしてきた槙野智章は、言葉で人を動かす力を持っているとうなる。

「大槻さんは魂で語っている。言葉に心があるんです。気持ちで会話している感じ。言葉の選び方もうまい」

【次ページ】 平川コーチ「戦術のイロハを教わった」

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