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南米では正直者がバカを見る?
日本代表「走るサッカー」の限界。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byGetty Images
posted2019/06/20 08:00
チリに完敗を喫した日本。中2日で迎えるウルグアイ戦で森保監督はどんな策を打ってくるか。
南米相手に美徳は通用しない。
勝負になったのは、走力があった前半だけ。走れなくなってからは、寄せてもダメ、下がってもダメとお手上げになってしまった。
日本サッカー界では長い間、走力が重視され、走り勝てることがいい選手の条件とされてきた。しかし、走力は万能の薬ではない。走力ももちろん大切だが、走力ばかりを強調するとボールを追いかける悪循環にはまりやすく、この試合のようにいいように崩されてしまう。
気になるのは、森保監督のコメントだ。
前日会見も含めて、監督は「チャレンジ精神」「勇敢」「アグレッシブ」というフレーズを再三再四、口にした。私たち日本人がいかにも好みそうなフレーズだ。
とはいえ、ここはアジアではない。南米だ。正直なことが美徳にならず、むしろ墓穴を掘ることになる怖い怖い世界である。南米の人々は「日本はたくさん走るぞ」と聞いたら、怖がるどころか「それならたくさん走らせて、動けなくさせてやれ」と考えるだろう。
中2日でウルグアイ戦に挑む日本。
そして、よりによって次の相手はウルグアイだ。
南米屈指の試合巧者であり、ウルグアイの中3日に対して日本は中2日と条件も悪い。こうした中でチャレンジ精神を持ってアグレッシブかつ勇敢に戦おうとすると、チリ戦の二の舞になる可能性が非常に高いのではないか。
後半に破たんしたチリ戦の内容や森保監督の力強い言葉を振り返ると、やはりサッカーには国民性が如実に表われるものだなあ、とつくづく思う。それはもちろん中2日で変えられるものではないが、これをこの先長く続けたところで、世界のトップクラスに肩を並べることはできないだろう。
結果が仮に出なくても、日本サッカーの方向性に一石が投じられることになれば、コパに参戦した意味はあるのかもしれない。