ル・マン24時間PRESSBACK NUMBER
競争激化の今年のル・マン24時間。
トヨタが日本車初の連覇に挑む。
text by
古賀敬介Keisuke Koga
photograph byTOYOTA
posted2019/06/12 14:00
昨年、念願のル・マン初制覇を達成したトヨタ。ウイニングパレードをするアロンソ(左)、ブエミと中嶋(車内)。
悲願のル・マン初優勝から1年。
性能の均衡化により、ノンハイブリッドマシンの性能は劇的に向上した。しかし、熟成が進められたTS050 HYBRIDのパフォーマンスと信頼性は高く、2018年の開幕戦スパ6時間で1-2フィニッシュを達成。その結果を受けて、さらなる性能均衡が進められた第2戦ル・マン24時間でも、やはり1-2を飾り、トヨタは悲願のル・マン初優勝を果たした。
長年にわたる挑戦の末、ようやく勝利を掴んだのだ。2016年大会、優勝目前でクルマが止まり涙をのんだ中嶋一貴は、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソと共に、遂にル・マンのウイナーズリストに名を記したのである。
第3戦シルバーストンでも、トヨタは中嶋らの8号車が優勝。シーズン3回目の1-2フィニッシュとなったが、レース後の車検でスキッドブロック(車体底面のアンダーパネルに貼り付けられた部品)に不具合が見つかり、2台とも失格となった。意図的な違反ではなかったが、細部まで目が行き届いていなかったこともまた事実。
そういったヒューマンエラーをしないよう訓練を続けてきたはずだったが、十分ではなかったのかもしれない。そのため、チームはより一層気を引き締めて、以降のレースに臨んだ。
全てのレースで自由競争を許可。
トヨタのお膝元での第4戦富士、第5戦上海では、小林可夢偉らが搭乗する7号車が、8号車を抑えて2連勝。シーズンの流れが大きく変わったように思われた。トヨタはレースを盛り上げるため、7号車と8号車に自由競争を許し、ル・マンを含めた全てのレースで激しい優勝争いが繰り広げられてきた。2台は完全にライバル関係にあり、その緊張感溢れる戦いは、ポルシェやアウディの不在を埋めるに十分といえる内容だった。
2019年に入りシーズンが再開しても、7号車と8号車の戦いは続いた。そのハイレベルなバトルに、ノンハイブリッドのライバルはなかなか入って行けなかったが、第7戦、シーズン2回目のスパ6時間では8号車が優勝するも、7号車はトラブルに見舞われ6位に終わった。
2位には名門レベリオン・レーシングのマシンが入り、トヨタに一矢報いた。トヨタは8号車がシーズン4勝目を挙げたことにより、2014年以来のチームタイトルを獲得したが、7号車のトラブルは最終戦ル・マンに向けての不安材料となった。