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カナダでサッカーのプロリーグ誕生!
MLSよりも面白い制度で注目集まる。
text by
ブラディミール・クレセンゾVladimir Crescenzo
photograph byCanadian Premier League
posted2019/06/02 11:00
CPLに所属するクラブを代表して、その各クラブの選手たちが参加したポスター。
2026年W杯共同開催に向けた大きな前進。
リーグの創設にあわせて新たに設立されたカバルリーFCに所属するマウロ・ユースタキオもこう述べている。
「これまでカナダにはプロチームが5つしかなかった。トロントFCとバンクーバー・ホワイトキャップス、モントリオール・インパクト(以上MLS)、オタワ・フュリー(USL)、それにFCエドモントン(NASL)だ。国土面積では世界第2位の国が、プロへの道がそれほど狭いのは考えられないことだ」
そうした希求に加えて、リーグ創設は2026年ワールドカップ共同開催に向けても追い風となった。
「CPLはサッカーの活性化というわれわれの戦略の一環だ」と、リーグコミッショナーのデビッド・クラナチャンは語る。
「CPLによってカナダにもプロリーグができた。FIFAに加盟する203の協会にとっても共同開催に投票しやすくなったのは間違いない」
アイスホッケー選手よりもサッカー選手が多かった!?
もともとカナダは、競技者の登録人口ではサッカーが国技であるアイスホッケーを上回っていた。だからこそ若手を育成できる環境の整備が急務であり、これまでは受け皿がないために人材の流出が避けられなかった。発展を阻害する落とし穴はあちこちに掘られていた。
「カナダ人は、世界のどのリーグでも外国人の扱いを受ける」と、ユースタキオは言う。
カナダ以外の国でプロチームを見つけるのは簡単ではない。
そしてMLSも、もはや理想的な受け入れ先ではなくなったのだった。
「2014年に僕がトロントとの契約にサインしたとき、自分の身の丈に合ったチームをついに見出したと思ったが、実際には違っていた」と中島ファラン一生(訳注:1984年カナダ生まれ。父親はジンバブエ系イギリス人、母親は日本人。ヴェルディのジュニアチームからクリスタルパレスユース、ヴェルディユースを経てアルビレックス新潟とプロ契約。2004年からアルビレックス新潟シンガポールで活躍した後に、デンマークのノアシェラン、オーストラリアのブリスベンロアーなどでプレー)は語る。
カナダ代表キャップ36回の経歴を持つ彼は、CPL開幕に際してパシフィックFCと新たに契約を結んだのだった。
「カナダでアメリカ人は地元の選手のように見なされているが、その逆(アメリカでカナダ人選手がアメリカ人扱いされること)はない。トロントにはカナダ人以上にアメリカ人選手が多かったからね!」