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カナダでサッカーのプロリーグ誕生!
MLSよりも面白い制度で注目集まる。
text by
ブラディミール・クレセンゾVladimir Crescenzo
photograph byCanadian Premier League
posted2019/06/02 11:00
CPLに所属するクラブを代表して、その各クラブの選手たちが参加したポスター。
カナダ代表を強くするための施策も。
たとえカナダ国内で才能が育っても、いざ収穫の段階で国外に流出せざるを得ないのだ。
「多くの若者が高いレベルでプレーする機会の欠如に失望して国を離れていった」と、クラナチャンは嘆く。
CPLこそは、この負のスパイラルを断ち切る契機として期待される。そのための規則も整えられた。
スタメン11人中6人はカナダ国籍の選手を起用しなければならず、またチーム登録選手の50%がカナダ人でなければならない。
「リーグが代表選出可能な選手の層を拡大するだろう」とクラナチャンは期待を寄せる。
「目的は代表の世代交代だ。そのためにCPLが果たすべき役割は大きい」とフォージFCのクワメ・アウアも言う。
「どこの国にもリーグがあって自国の選手たちがプレーしている。代表もリーグを活用している」
カナダもようやくその体制が整った。
カナダ代表強化とMLSとの比較。
とはいえ収穫を得るまでの時間は限られている。
「わずか7年のうちに遅れを取り戻さねばならない。急成長が必要だが決して不可能ではないと思っている」と中島ファランは語る。
同じくベテランのニック・レジャーウッド(カバルリーFC所属。34歳、50代表)も次のように述べる。
「2026年までには、CPL所属の選手だけが代表に選ばれるようになるだろう」
マルセル・デヨング(パシフィックFC所属。32歳、56代表)もつけ加える。
「これからカナダの若者は、プロになるために国境を越えてMLSのアカデミーに入る必要がなくなる。ワールドカップという目標に向けて、迷うことなく努力できる。このリーグには、MLSと肩を並べられるだけのポテンシャルがある」
とはいえ現状では、MLSとの比較は現実的ではない。リーグの規模も内実も、MLSとは比べるべくもないからである。
「リーグ創設にあたり18の自治体と話をした。それぞれの州に最低ひとつのクラブがあり、2026年までに14から16チーム規模のリーグにしたかったからだ。出来れば2部リーグまで作って、入れ替えシステムも確立したい」とクラナチャンは展望を語る。