水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史が詳しく語るCLの新潮流。
なぜアヤックスとプレミアが台頭?
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byAFLO
posted2019/05/31 11:45
馬力を感じさせるシソッコ(右)のプレースタイル。水沼貴史氏はその能力に注目している。
堂安のカットインもトレンドの1つ。
エールディビジ全体を見渡しても、確実にトレンドが変化し、モダンでスピーディなサッカーが浸透しているように思います。フローニンヘンの堂安律も、右ウイングの位置で出場する機会が多いですが、自由にカットインすることが許されているように見えますね。
またオランダは今回、CL準決勝の日程に合わせて、佳境を迎えていたリーグ戦の日程を動かしました。世界にオランダサッカーをアピールするぞという、ある種の覚悟、本気度がわかります。
危機感を持ち、育成システムの改革に取り組めばサッカーは変わる。ドイツ、ベルギーが成功し、最近ではイングランドやイタリアが復活の兆しを見せていますが、こういったある種「リバウンドメンタリティ」みたいなものの流れは現在のヨーロッパで顕著に現れています。オランダもそれが今年、アヤックスという形で証明できたのかなと思います。
“普段の戦い”が生んだ劇的逆転。
アヤックスについて話し過ぎちゃいましたね(笑)。話をCL決勝に戻しましょう。
準決勝で2夜連続で続いた劇的な逆転は、過去を振り返っても珍しかったと思います。私はアヤックスvs.トッテナム戦の解説を担当しましたが、漫画のように劣勢を覆すメンタリティは“普段の戦い”が生んだように感じます。
ヨーロッパリーグ(EL、決勝はアーセナルvs.チェルシー)も含めて4チームが決勝を占領したことで、改めてプレミアの強度の高さが証明されました。プレミアリーグではマンチェスター勢と合わせて「ビッグ6」と呼ばれますが、他のチームだって個性的なチームがいっぱいあるんです。
リーグ9位で終えたレスターだって、ジェイミー・バーディーが18点を挙げました。
7位と躍進したウォルバーハンプトンは昨季2部にいたチーム。プレミアリーグはスペインなどとは違ってある程度全クラブに予算が回る仕組みなので、リーグ全体のレベルが高い。そのリーグで場数を踏んでいるアドバンテージ、地力の差が出たと言えるでしょう。