スポーツ百珍BACK NUMBER
ロナウドを超える新記録はマネが!?
CL決勝の26年間を洗いざらい。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJunsei Chida/illustration
posted2019/05/30 07:00
準決勝では劇的な逆転で勝利したトッテナムとリバプール。最後まで見逃せないスピーディな試合に期待したい。
なぜか接戦が多いプレミア勢。
さて'07-08シーズン以来となるプレミア対決だが、プレミア勢が優勝する時のCL決勝は特にもつれる傾向がある。
'98-99:マンU 2-1 バイエルン
'04-05:リバプール 3-3 ミラン(PK3-2)
'07-08:マンU 1-1 チェルシー(PK6-5)
'11-12:チェルシー 1-1 バイエルン(PK4-3)
なんと、4回中3回がPK戦である。そして試合もドラマチックなものばかりだ。
'98-99のマンUはアディショナルタイムにベッカムのCK2本からバイエルンをうっちゃり、リバプールはジェラードの魂のヘディングを契機に6分間に3点を一気に追いついた。その勢いのままドゥデクのクネクネダンス効果もあってか、PK戦を制した。
チェルシーだって負けていない。マンUとのPK戦では決めれば勝利のジョン・テリーのスリップによって目の前の優勝がこぼれ落ちる悲劇を味わったが、その4年後にPK戦で初の欧州No.1の座を掴んだのだ。……ただこのうち2回も悪夢を味わったバイエルンは、あまりにつらい役回りである。
今季CLファイナルも最後までもつれる?
この展開、タイムアップまで強度が落ちないプレミア勢らしい展開と言えるだろう。それに加えて今季のトッテナムとリバプールは、準決勝セカンドレグでCL史上に残る大逆転劇を演じてきたチームである。「先制されてもまだこれから!」というメンタリティが備わっているのだから、スコアが動いてからこそ試合は本番だろう。
それでもクロップ監督とポチェッティーノ監督が標榜する果敢なプレスと、攻守の切り替えやアタックの圧倒的なスピードは、近年のサッカーのトレンドとも言える。
そこにケインやソン・フンミン、サラーやフィルミーノといった気鋭のアタッカーが、プレミアらしいスピード感とファイトする姿勢を見せてくれるはず。眠い目をこする必要もないだろう。
熱戦必至のファイナル。すやすやと、もとい、やすやすと見逃す手はない。