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新CL案が欧州サッカーを変える?
弱肉強食を加速させる1通の手紙。
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/30 10:30
現行のCLを大きく変えうる試案を示したユベントスのアニェッリ会長。サッカーの資本主義化に拍車がかかるのか。
3部制のリーグ戦で試合が大幅増?
漏れ聞こえる具体的な案として、2024年以降、新CLとでも言うべき大会を欧州中のトップクラブから成る3部制のリーグ戦にすることを、UEFAとともに検討しているらしい。
「1部リーグ」は現行CLと変わらぬ32チームで行なわれるが、グループステージはこれまでのように4チームを8組に分けるのではなく、8チームを4組に振り分ける。ホーム&アウェイの総当たりなら、試合数は現行の1チームあたり6試合から14試合へと大幅に増えることになる。
試合数の増加により、スケジュールはミッドウィークのみならず週末開催をも視野に入れる。すでに「重大な懸念がある」と表明したイングランド・プレミアリーグ、そしてスペインのラ・リーガは、こうした侵食に対して、早くも反対の姿勢を明確に打ち出している。
上位20~24チームが残留できる仕組み。
ご存じの通り、今季のCLとELの決勝に用意された4チームの席は、すべてイングランド勢によって占められている。来季もピッチ上での支配が続くかは分からないが、世界中から集まる放映権料を背景に、プレミアリーグの豊かさは他の追随を許さない。
昔日の栄華との距離、現在のトップ国との差が大きいほど、嫉妬の炎は燃え上がるはずだ。現状に一番歯噛みしているのは、2002-03シーズンにミランとユベントスでCL決勝を同国対決に染めた後、凋落のイメージが強いイタリアか。ミラン、インテルといった名門の影は薄く、栄光の時代は遠くに霞む。
そう考えれば、新CLの青写真を提示したのがカルチョの国の盟主だったのは象徴的だったようにも思える。
UEFAネーションズリーグのスタートで、各国代表チームとその他の世界との間に一線を引いたヨーロッパにあっても、新CL案は閉鎖的だと指摘されている。「1部リーグ」32チームのうち、上位20~24チームは翌シーズンも残留を約束されるようだ。