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世界的なサッカーバブルは頭打ち?
プレミア放映権が下落、Jの影響は。
posted2019/05/30 11:25
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
AFLO
38.5億ドル→35億ドル
(英プレミアリーグ、今季と来季の放映権料)
JリーグとDAZNが締結した10年間の放映権契約(2017~2026年)は今年、3年目に入りました。
放映権料の総額は約2100億円ですが、210億円が10年間支払われ続けるわけではありません。最初の3年間は160億円で、4年目以降は段階的に増加していく形になっています。
Jリーグは、来季以降、収入が増えていくことが見えている状況にあり、そのお金をどのように活用していくかが、今後の重要な経営テーマです。
当然、手にする資金は、Jリーグをより魅力的なコンテンツにするために投資されるべきもの。たとえば、欧州のリーグなどで活躍しているスター選手獲得への投資は、有効な使い道の1つではないでしょうか。
昨季、ヴィッセル神戸にアンドレス・イニエスタが、サガン鳥栖にフェルナンド・トーレスが加入しました。その結果、神戸の平均観客動員数(ホーム)は1万8272人(2017)から2万4779人(2018・イニエスタ加入後)へと36%増、鳥栖は1万4194人(2017)から1万7265人(2018・トーレス加入後)へと22%増を果たしました。
アウェーゲームでも、2017年の同カードとの比較で、ほぼ同等の増加率を記録。世界的なビッグネームの獲得が、観客動員数の増加に大きく貢献しました。
放映権料がもし頭打ちだとしたら?
選手がどの国のリーグでプレーをするのか、その判断基準はさまざまでしょう。ただ、年俸の高低が大きなファクターであることはまぎれもない事実です。
サッカービジネスにおいて放映権収入は非常に大きい比率を占めており、単純化すると、莫大な放映権収入を得て潤沢な資金を持つリーグほど、年俸の高いスター選手を数多く抱えることができる、という構図になっています。
近年、プロスポーツの放映権料は世界的に高騰し続け、欧州の各リーグもその恩恵を受けてきました。
でも、これが仮に頭打ちになっているとすれば、収入増が確約されているJリーグに優位性が出てくることになります。総額としては依然として大きな開きがあるため「相対的にやや有利になる」といった程度の変化ではありますが、Jリーグの戦略策定に影響を及ぼす可能性は十分にあります。