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箱根の未来は1年生のタイムでわかる。
今年の3位は青学、1位&2位は……。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2019/05/25 17:30
これまでのデータで振り返ると、2020年箱根駅伝は東洋大、青学大、駒大が上位に?
新興勢力や巻き返す大学も。
そして、2、3年のうちにシード校の常連になりそうなのが、東京国際大だ。
昨年も安定したリクルーティングを見せたが、指導力も評価できる。日本学生ハーフで3位に入賞し、ユニバーシアードの代表にも選ばれた伊藤達彦のように、上級生になるにつれ大きく成長を見せた選手も出てきた。
今年は留学生だけでなく、14分08秒の記録を持つ山谷昌也(水城)が入学しており、彼らが3年生を迎える2022年の箱根駅伝では、シード権を獲得するのではないか――と私は予想しておく。
3位は青学大。14分台ひとケタの選手が4人入学し、青学大のスタイルにフィットすれば、昨年の飯田貴之のように、中心選手として活躍する人材が出てくるかもしれない。そして、箱根駅伝で優勝した東海大が4位で続く。
一方、昨年のランキングでは苦戦した駒大と東洋大はそれぞれ6位、7位とリクルーティングでもしっかりと持ち直してきた。
特に駒大には、5000mでこの学年の日本人選手としては唯一の13分台の記録を持つ田沢廉(青森山田)が入学、久しぶりに世代トップが入ったことで部内に刺激が注入されることだろう。
駒大、東洋大とも粒ぞろいといった印象で、21世紀の駅伝を彩ってきた両校の争いが再び激しくなりそうだ。
シード権なしの明大、中大、早大は?
2019年の箱根駅伝でシード権に手が届かなかった明大、中大、早大も、戦える人材は確保している。
特に明大はこの3年間、4位→2位→5位と唯一3年連続でランキング5位以内をキープしている。高校時代に実績を残している選手は入学しているだけに、今季はなんとしても箱根駅伝でのシード権獲得が「マスト」となるだろう。
それは中大も同じ。今年の春にチームを支えた堀尾謙介(現・トヨタ自動車)、中山顕(現・Honda)が卒業し、今季は全体のレベルアップが求められるが、昨年、今年とリクルーティングでは上位を占めている。どうやってチームを盛り上げていくか、今年、来年と藤原正和監督の手腕が問われることになる。
昨年のランキング1位である早大は、毎年のことながら上位4人までは全国級の選手が揃うが、5人目でタイムが落ちる。これは入試制度の影響もあり、一概に現場の問題とは言い切れない。