プレミアリーグの時間BACK NUMBER
CLとELはアメコミのヒーロー的決戦?
プレミア4クラブをたとえると……。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2019/05/23 17:30
史上初のCL決勝進出を果たしたトッテナム。ケインの決定力はクラブに歓喜をもたらすか。
フル・イングランドの欧州決戦。
それは国内メディアに言わせれば“キャプテン・イングランド”といった具合になるのだろう。
CL決勝でのプレミア対決が決まった翌日に、アーセナルとチェルシーのヨーロッパリーグ(EL)決勝進出も決まった。欧州2大会の決勝における母国勢対決は史上初のこと。国内各紙は「オール・イングリッシュ・ファイナル」、「フル・イングリッシュ」の表現で、イングランド勢による頂上対決の色を強調していた。
ファイナリスト4チームは、いずれも外国人監督に率いられている。決勝進出を決めた準決勝第2レグの先発メンバーにしても計44名のうち、イングランド人は8名。それでも欧州制覇に乗り出すスーパーヒーローの勇姿を目撃した人々は、母国のプライドを駆り立てられずにはいられなかった。
「イングランド勢」の先陣を切ったのがリバプールだ。星条旗模様の代わりに、セントジョージ旗の白と赤を基調とするコスチュームを纏う「キャプテン・アメリカ」のような存在だ。
バルセロナ戦でのパフォーマンスは、人間の持つ能力の限界を超えられる漫画の主人公の如く、限界以上のチーム力が発揮されたと言ってもよい。
トッテナムはまるで「ハルク」。
トッテナムは、白い「ハルク」とたとえられるだろうか?
緑色のモンスターに変身するキャラクターのように、トッテナムはCLで反骨心を覚えるごとに怪力を見せ、勝ち上がってきた。例えばアヤックスとのホームでの第1レグ(0-1)、プレミアでもウェストハム戦と連続で完封負けを喫すると、「情けない」とメディアで叩かれた。
そもそも準々決勝では「マンC有利」と言われ、グループステージでもバルセロナ、インテルと同組だった時点で厳しいと見られていた。
その両軍を相手に連敗スタートとなり、早期敗退が囁かれた。しかしトッテナムは、緑色のアウェイ用ユニフォーム姿でクラブ史上初の決勝進出を決めている。