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伊東純也はなぜ欧州で成功したか。
得意の1対1と、隠れた「適応力」。
posted2019/05/24 11:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
今季、欧州で国内優勝に関わった日本人選手は3人いる。
ザルツブルクの南野拓実、ガラタサライの長友佑都、そしてベルギーのヘンクにウィンターブレイク後に加わったばかりの伊東純也だ。南野も長友もすでに欧州は長く、所属しているクラブはそれぞれの国で優勝争いの常連。彼らのポテンシャルも、クラブの立ち位置も計算できるし、優勝はいわば想定内だ。
だがヘンク、そして伊東の場合はちょっと異質だ。ヘンクは8シーズンぶりの国内優勝だし、伊東はクラブに加わって実質3カ月半に過ぎない。それでも伊東はレギュラーを勝ち取り、ファンたちのハートを鷲掴みにした。
もちろん、優勝が決まった試合では先発している。25歳での渡欧は決して早いとは言えないし、ベルギーリーグと欧州5大リーグとの間にはレベル的にも環境的にも大きな隔たりがある。
それでも、来季の欧州CLの本戦にストレートインする権利を勝ち取った。このところ欧州にチャレンジをしても苦戦する日本人選手が多い中、スタートダッシュを切れた久々のケースとなった。
優勝を決めたアンデルレヒト戦後、嬉しそうにこう話した。
「自分としては優勝は初めてなので、プロになってからも。多分、大学とかもなかったので、今まだ実感わかないです」
何かしらの大会で優勝すること自体が、小学校の頃以来なのだという。超強豪校や、日本でも優勝争いを経験してきたわけではない伊東にとって、新鮮で強烈な体験となっただろう。
言葉よりも、プレーで信頼を得た。
伊東の場合、確固たる武器があったことが3カ月半でレギュラーに定着したことの理由だろう。
「(言葉での)コミュニケーションは難しいです。でも、プレーで見せて信頼を得るのは大きいかなと。監督はやっぱり、1対1のプレーを評価してくれてる。1対1になったら常に仕掛けろといってくれてるんです。1対1は自分の得意なプレーなので、そういう部分を評価してくれてると思います」