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犬連れ登山がネット上で賛否両論。
現場任せの行政に問題意識はあるか。 

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森山憲一

森山憲一Kenichi Moriyama

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photograph byKenichi Moriyama

posted2019/05/19 08:00

犬連れ登山がネット上で賛否両論。現場任せの行政に問題意識はあるか。<Number Web> photograph by Kenichi Moriyama

犬連れの登山者は日本では少ない。自然の境界線、そこに人為が及ぶのをどこまでよしとするか、議論とルールづくりが必要だ。

自然公園法第21条を見てみると。

 唯一の明確なルールといえるものは、自然公園法第21条。ここでは、国立公園特別保護地区内において「動物を放つこと」が禁じている。特別保護地区というのは、国立公園のなかでも特に自然環境が貴重な地域。ただし、「放つ」ことは禁じているが、「連れ込む」ことは禁じていない。

 ならばリードを付けて連れていくのは問題ないと解釈でき、環境省も公式ウェブサイトでそれを認めている。ところがここでも、環境省の回答にはいくつかの留保が付き、最終的には「地域のマナー」を尊重してくださいと、判断を投げてしまっている。要するによくわからないのだ。

「山の不文律」は通用しない?

 私も犬を飼っており、山に連れていきたいなと思うことはある。が、今まで実行したことはない。「怒られそうだから」というのが理由である。

 もちろん、富士山や北アルプスなど標高の高い山に連れていくのは、現地の環境にも犬の体調にも問題がありそうだから、もともとやるつもりはない。明確なルールがあるのならば、それを破ってまで犬を連れていきたいという強い気持ちを持っているわけでもない。

 だが、「空気」のようなもので行動が制限されることには強い違和感を覚える。科学者ではないので断言はできないが、標高1000m程度の山に犬を連れていっても、おそらく大きな問題はないはずだ。そこでいきなり罵声を浴びせられる現状は、やはり不健全であると思うのだ。

 このあたり、きちんと問題を区別して議論を重ね、明確なルールとまではいかなくても、ガイドライン程度のものを、登山者や登山団体、環境省などが一体となって作ることはできないものだろうか。それを基準にして、意見の異なる人たちも歩み寄ることができるし、よくわからない空気におびえる必要も少しはなくなると思うのだが。
 

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