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三大自転車レースは“年に1度のお祭り”。
ジロ初参戦の日本人は明暗分かれる。
posted2019/05/16 07:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Sonoko Tanaka
イタリアのスポーツといえば、カルチョ。いや、それだけではない。サッカーのセリエAが閉幕する5月は、猫も杓子も“チクリズモ”。ウェブでいま【Ciclismo】と検索してみれば、ホットなニュースが無数に出てくるはずだ。
初夏のイタリアは、自転車ロードレース熱が最高潮に達する。中世の歴史的建造物に囲まれた市街地、風情ある丘の上、絶景の山岳地帯の沿道まで3重、4重の人垣ができ、老若男女が手をたたき、声を張り上げる。普段はカルチョに夢中なイタリア男も「年に1度のお祭りだ」と熱くなる。
ヨーロッパだけではなく、南米コロンビアの自転車ファンも母国の旗を振り、我らが英雄の名前を連呼する。自転車競技が文化として深く根付いており、道路がいま以上にでこぼこだった100年以上前から人気を博しているのだ。
グランツールの1つ「ジロ・デ・イタリア」。
世界三大自転車ロードレースの幕開けとなる「ジロ・デ・イタリア」の第102回大会が5月11日、イタリア北部エミリア・ロマーニャの州都ボローニャで開幕した。
UCI(国際自転車競技連合)が統括する自転車競技では「ツール・ド・フランス」、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」と並んでグランツールと呼ばれ、世界最高峰の選手たちが集結する。6月2日までの約3週間(休息日は2日間)でアルプスの山岳地帯を含めイタリアを周遊し、全21ステージの3578.8kmを走り抜け、個人総合優勝の座を争う。
グランツールをたとえるならば、サッカーのUEFAチャンピオンズリーグ、テニスのグランドスラム(四大大会)と言ったところか。
夢の舞台に立てるのは限られた者のみ。1909年に始まった伝統あるジロ・デ・イタリアの出場権が与えられるのは、UCIのチーム格付けが最高位にカテゴライズされるワールドチームの18枠、大会主催者に招待されるプロコンチネンタルチーム(上から2番目のカテゴリー)の4枠。2019年大会は計22チームの176人(各チーム8人)がエントリーした。