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犬連れ登山がネット上で賛否両論。
現場任せの行政に問題意識はあるか。 

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森山憲一

森山憲一Kenichi Moriyama

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photograph byKenichi Moriyama

posted2019/05/19 08:00

犬連れ登山がネット上で賛否両論。現場任せの行政に問題意識はあるか。<Number Web> photograph by Kenichi Moriyama

犬連れの登山者は日本では少ない。自然の境界線、そこに人為が及ぶのをどこまでよしとするか、議論とルールづくりが必要だ。

賛否入り乱れる日本の登山の現状。

 犬連れ登山をOKあるいはNGとする理由はそれぞれ多岐にわたるが、おおむね以下のようなものに整理される。

【OK派の言い分】
・犬連れ登山を禁止する法律はない
・犬が山に入ることが環境破壊というなら人間のほうがよっぽど破壊している
・狩猟等で山に入る犬は多くいるがそれはどうなのか

【NG派の言い分】
・犬が持っている感染症などが野生動物に有害である
・犬が苦手な人に脅威となる
・登山は犬に過剰な負担となる

OK、NG派それぞれの言い分は。

 少し詳しく説明しよう。

 まずはOK派について。彼らの言うとおり、犬連れ登山を禁止する法律は存在しない。ローカルルールとして禁止している山はあるものの、法的根拠がないためか運用の責任主体は不明確な場合が多い。「人間のほうがよっぽど破壊している」というのも、そのとおり。山に入る人間の数と犬の数を比べれば、それは自明なことだろう。

 人間が山に入ることを禁止はしていないのに、はるかに影響の少ない犬だけを禁止するのはナンセンスである。さらに、狩猟では古くから犬を連れて山に入るということが行なわれている。犬連れが禁止となれば、それも禁止しなくてはいけないのか。もっといえば、山小屋で犬を飼っているところもある。それはどうなのか。

 そしてNG派について。こちらは、犬が山の自然環境に害を与えるため、連れてきてはならないというのが主張の核心だ。

 犬はさまざまな雑菌や感染症などを持っている。山の自然は平地に比べて脆弱なもので、そこに犬が入り込むことによって大きなダメージを受ける可能性がある。犬に吠えかけられることによって、小動物や鳥類などに無用なストレスがかかることも考えられる。飼い主から離れて保護動物を襲ったりする事態にでもなれば、それこそ大きな問題だ。

【次ページ】 問題は野放し、現場任せなこと。

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