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「あの時の齋藤学」を遠く離れて。
左からドリブル、だけじゃない姿を。 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byGetty Images

posted2019/05/17 07:00

「あの時の齋藤学」を遠く離れて。左からドリブル、だけじゃない姿を。<Number Web> photograph by Getty Images

左サイドからのカットインだけでなく、右サイドでは連動して崩す。齋藤学はフロンターレで今までとは違う輝きを見せている。

清水戦では左サイドからの先発。

 迎えた清水エスパルス戦は、左サイドからの先発となった。

 本来であれば慣れ親しんだ位置だが、裏を返せば、スタートから「左の齋藤学」を求められることを意味する。試合前日の練習後、そのことに関する胸の内をこう明かし始めた。

「右(サイド)の時間が長すぎて、景色が(変わるのは)大丈夫かなというのはある。やっぱりちょっと変わるのでね。左となると、カットインという自分のイメージが浸透しているし、それとの折り合いというか、『齋藤学はこうだ!』というプレーがあるから。それは1つの武器でもあるけど、弱点にもなり得る。気負うと、それを出そうとしてしまうから。右と同じように自然な感じでやれたら良いかな」

あれの前後は……紀元前(笑)。

 あの右膝前十字靱帯損傷から復帰を果たして、1年が過ぎた。彼が左サイドでボールを持って仕掛ければ、見る人は皆「あの時の齋藤学」を期待する。そしてそのイメージを実際のプレーに重ねてしまう。周囲がそういう見方をするのは仕方のないことだ。

 だが、本人は違う。

「前十字をやっているのは、自分にとって大きなポイント。あれの前後は……(自分の中で)紀元前みたいなもの(笑)。あれがある前と後で、違う人物だから。そこにこだわる必要はない。

 ドリブルもそうだし、カットインもそう。みんなが『行け!』という場面で、周りは幻影を求めてしまう。みんなは『昔に戻ってきたね』と言うけれど、自分としては、ただ新しくやれただけ。感覚的にはね」

 今は、新しい自分の芯を太くしていく作業に向き合っている。

「だからちょっとずつ自信をつけていくことにした。(これまでは)自信が全然なかった、試合でもね。だから右サイドも受け入れた。だって違うんだから。違う自分を確立できていったほうがいい」

【次ページ】 左でも余裕じゃん、と思った。

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