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ミシャ式育ちの高木俊幸が戸惑った、
オズ浦和の勝利至上主義は是か非か。 

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佐藤亮太

佐藤亮太Ryota Sato

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posted2019/05/05 17:00

ミシャ式育ちの高木俊幸が戸惑った、オズ浦和の勝利至上主義は是か非か。<Number Web> photograph by Getty Images

磐田戦でも浦和の攻撃は振るわなかった。オリヴェイラ監督は中盤戦に向け、どのような打開策を示すのか。

ミシャサッカーとは正反対の形。

 この堅実な戦略は、ロマンと理想を求めるミシャサッカーとは正反対である。

 内容より結果、徹底した勝利至上主義への変貌。これに驚く選手がいた。

 2017年まで浦和に在籍した、セレッソ大阪の高木俊幸である。

 第4節、浦和はアウェイでC大阪と対戦した。先制を許したものの、後半に興梠慎三、杉本健勇がゴールを奪い逆転勝利を飾った。その試合後、高木はこんなことをつぶやいていた。

「浦和はいったい何をしたいのか全く分からなかった」

 ミシャサッカーで育った高木にとって、その変わりように明らかに戸惑っていたのだ。

勝つサッカーを目指すと発信。

 守備を徹底しつつも、いまひとつ攻撃に勢いを作れない。そんな現状のサッカーに「もう少し、面白いサッカーが見たい」と思うサポーターも多いだろう。ただ今は、 少し観察が必要な時期なのかもしれない。

 クラブ公式ホームページに掲載されるクラブの理念に「強くて魅力あるチーム」とある。2月に就任した立花洋一代表は“強くて”を“チームが勝つこと”、“魅力ある”を“観客動員数”とそれぞれ定義している。

 また同サイトには「浦和レッズの選手は、その1試合の勝利を追求することに全力を尽くす姿勢や執念を示さなければなりません」と記されている。ワクワクする、魅力ある攻撃的サッカーと打ち出しているわけではないことから、今季の指針が見えてくる。

「これは逃げではなく、クラブは勝つサッカーを目指していることを発信している。その点ではブレはない」

 昨年4月6日、約10年ぶりに現場復帰した中村修三GMはこう話していた。そして今もなお「これから楽しみで仕方がない」と断言している。その理由をこう明かす。

「今やっているハードトレーニングは先を見据えた練習です。これだけやっているから途中から入った選手もスッと試合に入れる。部活のように練習時間は長いけど(笑)、大事なときに、個人やチームとしても最後に活きている。

 また、新加入選手の融合が進んでいる。監督は(鈴木)大輔はいずれポジションを取って、定着するだろう。(汰木)康也にしてもタレント性があるし、時間はかかるが必ず戦力になると話しているし、清水戦で途中から起用され、結果を残している。ヤマ(山中亮輔)もドシっとしてきた。監督のなかには選手それぞれの成長のスケジュールがあって、その通りになってきている。楽しみで仕方がない」

【次ページ】 ファブリシオ復帰で変わるのか。

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