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ミシャ式育ちの高木俊幸が戸惑った、
オズ浦和の勝利至上主義は是か非か。
posted2019/05/05 17:00
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph by
Getty Images
「すべてが変わる」
昨年4月19日、オズワルド・オリヴェイラ監督の浦和レッズ監督就任が発表された時のこと。宇賀神友弥をはじめとした選手は異口同音にこのような期待を込めた。
ただ一方、外から見るといくつかの違和感があった。浦和の歴代監督を見渡せば、ヨーロッパ出身監督が多く、ブラジル人監督は2001年のピッタ監督以来である。
またオリヴェイラ監督が用いる基本布陣は4-4-2。それまで浦和は長く3バックで戦ってきた歴史があり、2017年、クラブ史上2度目のACLを制覇した堀孝史監督時代の4-1-4-1以外、あまり成功例のない4バックが機能するのか、それが浦和の風土に合うのかなど当初、個人的に懐疑的だった。
そこで就任から1年のタイミングで、オリヴェイラ監督の目指す形はどれだけ浸透したのか――。これまでの戦いぶりを振り返りつつ検証したい。
就任当初は選手の特性を見極め。
初陣となった柏レイソル戦、湘南ベルマーレ戦ともに0-1で負け、連敗スタート。ルヴァンカップでは甲府相手に負けて敗退するなど、出だしは良くなかった。
しかし、指揮官は慌てなかった。チームに足りなかった90分間通じての耐えうるインテンシティーを鍛えつつ、じっと選手の特性を見極めていた。
そのなか、指揮官が本格的にチーム作りに着手したのがワールドカップに伴うリーグ中断期間中、6月27日から7月4日まで行われたJ-STEP合宿だった。
合宿前半は、これまで続けた強度を上げるメニューを徹底。とにかく身体をいじめ抜くメニューを繰り返した。
サイドでトライアングルを作る、守備ブロックを作ってからのカウンターなど部分的なメニューを組み合わせるなど、戦術の浸透に多く時間を費やした。