話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
風間グランパス好調に吉田豊あり。
駆け引きだけで奪う守備を習得中。
posted2019/05/05 11:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
名古屋グランパスは、4日の第10節・湘南ベルマーレ戦で1-1の引き分けに終わった。
それでも6勝2分2敗で、2位を堅持。首位を走るFC東京との差は縮まらなかったとはいえ、風間八宏監督の余裕の表情を見ると、現チームに確固たる自信を持っているように見えた。
その要因のひとつは、異次元のスタイルともいうべき、システムにとらわれない攻撃が機能しているからだろう。
湘南戦ではジョーという大黒柱を後半11分にベンチに下げ、ガブリエル・シャビエルを投入したが、そこから流れが変わった。
シャビエルを軸に長谷川アーリアジャスール、和泉竜司ら4人が前線をかき回す。湘南は彼らを捕まえ切れなくなり、名古屋はその混乱に乗じて攻めた。これが風間監督の目指すスタイルであることは、指揮官がベンチの前で幾度となく手を叩き、頷いていたシーンからも理解できた。
10試合で7失点、吉田も貢献中。
それとともに、今シーズンの躍進は守備陣の健闘も大きい。
最終ラインの丸山祐市、中谷進之介、宮原和也は昨年から変わらないが、左サイドバックの吉田豊、それにボランチの米本拓司とシミッチの加入が効いているのだ。
とりわけ最終ラインに入った吉田の存在は見逃せない。吉田は鳥栖から移籍してきたが、独特な風間サッカーに早くも馴染み、これまで開幕から10試合連続でスタメン出場。7失点はリーグ4番目に少なく、吉田はチームの堅守に大きく貢献している。
湘南戦の前半は、相手の素早いプレッシャーに戸惑い、押し込まれる展開となった。
だが前述通りシャビエルが入って以降、吉田いわく「シャビエルがボールを収めてスイッチの入れどころになってくれた」となり、攻撃が活性化した。
ボールを握る時間が増えていくと、名古屋の良さがより発揮される。
全体をコンパクトにした中で素早いパスと流動的な動きで相手をはがし、ゴール前までつないでいく。吉田は逆サイドにボールがあっても、ここぞという時にスルスルと前に出ていく。またワイドに開いた和泉竜司にボールが入ると、そのインに入るなど積極的に攻撃に絡んでいった。