話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「強くていやらしい鹿島」はどこへ。
内田篤人の不在が響く勝負勘の乱調。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2019/04/29 16:30
24日ACL慶南戦(0-1)に続き、横浜FM戦でも鹿島らしくない戦いで公式戦連敗。昨年同様に、リーグ戦前半ではまだ波に乗り切れていない。
「鹿島に怖さはなかった」
ピッチ上でコントロールできる選手が不在の上に、選手交代も後手を踏んだ。
前半は守備重視でプレスを掛けてカウンターを狙うため、中盤にブラジル人選手ではなく連動して守れる白崎凌兵、安部、土居聖真を置いたのは効果的だった。だが、守備にエネルギーを使っていた白崎と安部は、後半に入るとかなり疲弊していた。安部が交代したのは後半29分、白崎が交代したのは後半37分だった。
後半、マリノスは点を取るために前掛かりになっていたので、2点目を奪い、試合を決めるためには、もう少し早い時間にレアンドロとセルジーニョを入れる選択肢もあったはずだ。直線的なスピードがある彼らの方がカウンターには適している。少なくとも、同点にされた時点で交代があってもよかった。
試合後、F・マリノスの三好康児が「終始、鹿島に恐さはなかった。逆転できると自信を持って戦えた」と語ったが、相手にまったく恐怖感を与えられずに負けているのも鹿島らしくないだろう。
思い返してみると、鹿島は昨年も9節まで3勝4敗2分で波に乗り切れていなかった。前年と同じことを繰り返していることも、どうにもらしくない。
「今はうまくいっていない。これで公式戦2連敗だけど、3連敗は許されない。もう後がないくらいの気持ちで試合に出ている選手はやっていかないといけない」
永木は厳しい表情でそういった。
“いやらしい鹿島”を取り戻すには?
試合後、水の入ったペットボトルを数本持ち、ピッチ前に出て戦った選手を待っていたのは曽ヶ端準と遠藤康だった。鹿島の伝統を知るベテランが、そういう姿勢を見せているところに救いがある。
永木も試合終了間際、レアンドロをついた天野純を押し返すなど仲間思いの熱いところを見せた。その永木を含め、「チームのために」という意識が高い2人を起用するなり、何かしら“変化”を打ち出していくべきだろう。
攻撃の形が作れない、複数得点を取れない、小さなミスが多い、大事なところで意思統一ができていないなど課題は多い。
1-0で粘り強く勝ち切るいやらしい鹿島を選手は取り戻すことができるか。
いつも鹿島は選手の力で立て直してきた。今度も選手の力が問われることになる。