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「絶対無理」のイチローより可能性大?
日本人初のメジャー監督を目指す男。
text by
宮寺匡広Masahiro Miyadera
photograph byTakashi Miyoshi
posted2019/05/06 09:00
左から、エリザベストン・ツインズのコーチであるジェフ・リードと三好貴士、監督のレイ・スミス。
レイ・スミス監督の姿勢に深く感銘。
晴れて三好は採用され、2018年から傘下のルーキーリーグ、エリザベストン・ツインズで「4thコーチ」という役職についた。4thコーチというのは、監督、打撃コーチ、投手コーチをサポートする役割がメイン。試合になれば、一塁コーチや三塁コーチを任されることもある。
初めてのメジャー組織でのシーズンは、学ぶことばかりだった。近年のメジャーを席巻する守備シフトの考え方や、膨大なデータから導き出された効率的なスイングのメカニクス、「ストライク」と審判に判定してもらいやすくするためのキャッチャーのキャッチングの方法など、細かい知識や技術を次々と吸収していった。
また、同僚の指導者たちの野球に対する姿勢にも、とても刺激を受けた。中でもルーキーリーグで監督を務めるレイ・スミスが印象的だった。
1年後、その先のための準備をする63歳。
エリザベストン・ツインズの監督として24シーズンを過ごし、シーズンわずか68試合のリーグで通算1002勝という記録を達成。技術や選手を見抜く眼は当然のことながら、野球に対する姿勢が素晴らしかったという。
「試合が終わるとコーチ陣は、次の日に備えてミーティングを行ったり、選手のレポートをまとめないといけません。その時点ですでに深夜です。でも監督はそこからジムに行って身体を鍛え始める。
ある時、『なぜそんなに追い込むんだ』と聞いたら、『これは準備なんだ』と。『明日とか明後日のための準備じゃなくて、1年後もその先もグラウンドに元気で立っているための準備なんだ』と。これこそがプロフェッショナルの姿勢なんだと学ばせていただきました」
そんなレイに負けじと、三好もシーズン中はどんなに忙しくても、試合後のジム通いは欠かさなかった。
三好の最大の目標はメジャーで監督をやることだ。
「日本人指導者がメジャーで、まだやっていないことをすべてやりたい。バッティングコーチも、ピッチングコーチも、監督やメジャーのスタッフもそう。
アメリカの面白いところは、実力を示せば、評価がガラッと変わるところ。そういうところで前例を作りたい」