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「絶対無理」のイチローより可能性大?
日本人初のメジャー監督を目指す男。
text by
宮寺匡広Masahiro Miyadera
photograph byTakashi Miyoshi
posted2019/05/06 09:00
左から、エリザベストン・ツインズのコーチであるジェフ・リードと三好貴士、監督のレイ・スミス。
独立リーグで新記録を達成した三好。
選手が練習したいと思ったときに、いつでもバッティングピッチャーを引き受けたり、ノックを打ったりできるように、誰よりも早く球場に入り、誰よりも遅く帰った。その後はコーチングやチームマネジメントを学びながら、指導者として独立リーグの球団を渡り歩く。
2015年には「パシフィック・アソシエーションリーグ」のソノマ・ストンパーズの監督に就任。そこで2016年にリーグ優勝を果たすと、翌年にはシーズン勝利数のリーグ新記録を樹立する。
指導者として頭角を現してきた三好が、次に見据えるステージはメジャーの世界だった。
「監督をやるようになってから、メジャーの関係者に会う機会が増えました。彼らの話を聞きながら、この世界で自分がどれくらいやれるのか試してみたい、と強く思うようになりました」
三好は独立リーグでの監督業と平行しながら、各球団に売り込みをかけ続けた。
試行錯誤しながらリクルート活動を続けた。
メジャーの春季キャンプ期間中、キャンプ地を回っては履歴書を球場のチケットオフィスに持っていった。断られながらも、新たな方法を模索した。
「履歴書を渡す時期や、どんな封筒だったら受け取ってもらえるのか、どんな書き方だったらアピールになるのかを徹底的に考えました。
9、10月に、監督やコーチを入れ替える人事異動の時期があるから、書類を送るタイミングなどもわかってくる。そのうち傘下の球団を統括する『マイナーリーグ・ディレクター』の存在や、彼らとの連絡の取り方を知ることができました。
あるときセントルイス・カージナルスが興味を持ってくれて、面接までこぎつけましたが、結局、不採用でした。その繰り返しでした」
シーズン中も自らスカウトに連絡を取り、毎日のようにその日の監督としての取り組みをレポートとして送っていた。
そして2017年末、その行動力と独立リーグでの実績に興味を示したのが、ミネソタ・ツインズのマイナーリーグ・ディレクターだった。