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「絶対無理」のイチローより可能性大?
日本人初のメジャー監督を目指す男。
posted2019/05/06 09:00
text by
宮寺匡広Masahiro Miyadera
photograph by
Takashi Miyoshi
「監督は絶対無理ですよ。これは“絶対”がつきますよ」
3月21日の引退会見で、イチローは将来の監督就任を否定した。殿堂入り確実な実績からすれば、日本人初のメジャーリーグ監督の最右翼だと思うのだが……。
しかし、その裏でメジャー初の日本人監督の座を目指し、日々奮闘している者がいる。昨年からミネソタ・ツインズ傘下のルーキーリーグ、エリザベストン・ツインズでコーチを務める三好貴士だ。
三好の選手としての経歴は、決して輝かしいものではない。メジャーはおろか、マイナーやNPBに所属したこともなく、米独立リーグが彼の選手としての最高のキャリアだ。そんな彼が、いかにしてツインズのコーチに就任したのか。
「17歳のときにジャッキー・ロビンソンの伝記を読んで、パイオニアとしての生き方に憧れたんです。ちょうど野茂英雄さんが、ドジャースで活躍されていた時期でもありました。現実的に、アメリカを目指してみたいと思うようになったのもその頃です」
27歳で現役引退後、一旦はサラリーマンに。
三好は幼少の頃からメジャーに憧れを抱き、高校卒業後に単身渡米。アメリカの短大や独立リーグを中心にプレーしながら、マイナー入りを目指した。しかし、その思いは果たされることなく、27歳で現役を引退。日本に戻り、英会話教室のマネジメントや営業の職に就く。
ところが「選手としてのけじめをつけたい」と、31歳で現役復帰を決意。会社を退職し、2009年、アリゾナで行われたトライアウトリーグに参加した。そこで、ひたむきに野球を学ぼうとする姿勢が評価され、米独立リーグ「ゴールデン・ベースボールリーグ」のビクトリア・シールズから選手兼コーチとしてオファーを受けた。
これが、指導者としての道を本格的に歩み始める最初の一歩となったのだ。