“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
熾烈なメンバー選考、新ルールも導入。
開幕迫るU-20W杯の切符は誰に?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/04/24 17:30
全日本大学選抜のFW上田綺世(右)をマークするCB関川郁万(左)。追加招集となったが練習試合では存在感を示した。
“高さ”がほしいFW陣。
今回、FWは宮代大聖(川崎フロンターレ)と西川潤(桐光学園)の2人のみの選出だった。ここに久保が割って入ることが予想できるが、となれば、“高さ”が物足りなくなる。AFC U-19選手権では田川亨介と原大智(ともにFC東京)が起用されていたが、今回は2人とも合宿に参加しておらず、2トップの一角にはMF登録の183cmの郷家友太(神戸)が起用された。
前述したCB三國を投入する策も考えられるが、やはりもう1人長身FWがほしいところ。先月実施したポーランド遠征ではナイジェリア人の父と日本人の母を持つ櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド千葉U-18)を招集。190cmという長身とフィジカルの強さを誇る期待のFWだ。
この3人のうち1人が入るのか、2人が入るのか、それとも入らないのか。ここも注目のポイントだろう。
新ルールはメリットになる?
そして、もうひとつ。以前から、U-17W杯やU-20W杯ではFIFAが新しいルールやシステムを試験的に行う場としても活用されてきたが、今回も新たな試みが導入されるという。
振り返ると、1993年のU-17世界選手権(現・U-17W杯)ではキックイン(スローインではなく、タッチラインを割ったらすべてプレースキックでスタート)を、前回のU-20W杯では全試合でVARを実験的に採用された。
いくつかある中で大きな変化をあげると、ゴールキックとFKのルール改定だ。
ゴールキックに関しては、これまではセットして蹴りだす時に、味方はペナルティエリアの外に出てボールを受けないといけなかった。それが今大会では、味方であればペナルティエリア内に残ってボールを受けてもOKというルールになる(その際、相手は従来の通りペナルティエリア内に入れないが、ボールがDFに渡った瞬間に入ることが可能)。
これにより、GKからのビルドアップを行うチームであれば、素早くリスタートを行い、相手を食いつかせてから“すばやく裏を取る”攻撃を優位に進められることになる。直接的にルール変更に関わるGK大迫はこう語る。
「後ろからつなぐシチュエーションが今までより増えると思う。海外相手だと(ロングボールを)蹴ってもなかなか前で収める難しい中で、後ろから足元に繋いでいけるのは(日本にとっては)メリットかなと。
でも、GKからすれば恐怖心を感じることもあるかもしれません。前線は(ボールを)受ける準備をしているのに、後ろが(ボールを)繋ぎたいという状況など、チーム内の意思疎通が合わなかった時に非常に危険な状態になるので、そこは1つ1つの練習から合わせていかないと命取りになりかねないと思います」
メリットを感じつつも、チームとしての意思疎通を求めた。