Jをめぐる冒険BACK NUMBER
城福監督が注目するクロップの言動。
「モウリーニョとまた違うんだよね」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/05 11:05
現在リーグ戦3連勝中のサンフレッチェ。城福浩監督は選手と心を通わせながら戦っている。
クロップの言動に興味をひかれる。
――以前は、ペップ・グアルディオラ時代のバルセロナをかなり熱心に観て分析されたり、「ジョゼ・モウリーニョにシンパシーを覚える」とおっしゃっていましたが、さすがに今は、リラックスしながら欧州サッカーを観るような時間はないんじゃないですか?
「あれも、これもって観ることはできないけれど、できるだけ観るようにはしています。プレミアリーグのその節の好カードだったり、チャンピオンズリーグで観たいなって思う試合だったりは観ます」
――今、気になるチームや監督、シンパシーを覚えるようなチームや監督は?
「リバプールの(ユルゲン・)クロップかな。戦術に関しては、抱えている選手が違うから、参考にする程度だけど、気になるのはクロップのモチベーターとしての手腕。モウリーニョとはまた違うんだよね。
モチベーターとしての能力が高くて、行くクラブ、行くクラブで選手から慕われているし、メディアとの関係もすごくいいみたいで。それに彼は、ネガティブな発信はほとんどしないんだよ。戦う姿勢は見せるけど。そういうところは、すごく参考になるし、反省にもなる」
――反省になるというのは?
「僕はどちらかと言うと、いろんな方面に対決姿勢を見せながらものを言うことがあった。それは外からのプレッシャーから選手を守るという意図もあって、モウリーニョや(イビチャ・)オシムさんの影響を少なからず受けたんだと思うけど、最近ではクロップの言動に興味をひかれることが多い。まあ、クロップに限らず、いろいろな指導者を見て、今の発言にはこういう意図があるんだろうな、って参考にしています。
それと、どのチームも新しい選手を獲得すれば、これまでの功労者をメンバーから外さざるを得ないことがあるでしょう。世代交代に踏み切って新しい血を入れれば、必ず誰かを切らなくてはならない。そのときの監督の決断の背景とか、そういうのはすごく気になるかな。外される選手だって、クラブへの貢献は今現在の出場の有無にかかわらず大きいだろうし、人生や家族とか、いろいろなものを背負ってやってきたわけだから」
――かつては戦術が気になっていたけれど、今は監督と選手の人間関係とか、監督の選手との向き合い方のほうが気になる、ということですね。
「チームマネジメントという言い方がいいのか分からないけど、どう気持ちを切り替えて選手たちと向き合っているのかなとか、そういうのがすごく気になるし、そういうのを見聞きしながら、果たして自分はどうなのか、と考えることが多くなりましたね」