Jをめぐる冒険BACK NUMBER
サンフレッチェ城福浩監督の信念。
選手を愛し、辛くても「冷徹に」。
posted2019/04/05 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
まず前編では2018シーズンの戦いぶりと、ベテランや若き才能をどう起用していくかの葛藤について明かしてくれた。
――1年半ぶりに現場に戻った昨年、17勝6分11敗の2位でシーズンを終えました。率直にどんな感想をお持ちですか?
「その前のシーズン、サンフレッチェは勝点33でなんとかJ1に残留して、選手たち、特にベテラン選手はすごく苦しく、悔しい想いを味わった。その彼らが素晴らしいリバウンドメンタリティを発揮してくれたんだけど、そんな彼らの取り組みに対して、2位という結果でしか応えられなかったのは、本当に悔しい。ただ一方で、優勝するだけの力はなかったという現実とも、しっかり向き合わなきゃいけないと思っています」
――開幕から14試合で史上最高となる勝点37を獲得し、シーズン前半戦は首位を独走しましたが、終盤に失速し、6連敗を喫してしまいました。その要因をどう分析されていますか?
「ワールドカップの中断期間までに勝点37を取れたのは成果ではあるけれど、圧倒的な内容で勝っていたわけじゃなくて、ぎりぎりの試合をモノにして勝点を重ねていった。メンバーも前年からほとんど変わっていないから、いかにシーズン中にチームを進化・成長させていくかがテーマでした。
じゃあ、どう進化・成長させるのかと言ったら、若手の突き上げや攻撃面での積み上げ。もっとチーム内の競争を高めたかったし、もっとボールを動かして自分たちが主体となってゲームを進め、シュート数だって相手を上回るゲームを増やしたかった。ただ、前半戦にあれだけ勝点を積み重ねたことによって、シーズン中に変化を加えることが難しくなった。
その難しさは、経験して初めて感じたことでした。夏に攻撃面の積み上げに取り組んだんだけど、勝点が取れなかったとき、攻撃に比重を置くようになって統一感がなくなった、という雰囲気になってしまうわけです」