Jをめぐる冒険BACK NUMBER
城福監督が注目するクロップの言動。
「モウリーニョとまた違うんだよね」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/05 11:05
現在リーグ戦3連勝中のサンフレッチェ。城福浩監督は選手と心を通わせながら戦っている。
監督業って、山あり谷ありだけど。
――監督としては、いかに肩の力を抜かせてやるか。
「そうですね。ただ、野津田が今、もがき苦しんでいるのは、サッカー選手としてあるべき姿で、すごく頼もしくも感じます。アカデミー出身の選手で、クラブから将来を期待されていて、でも、自分から飛び出して行って、満を持して帰ってきた。そりゃ、肩に力も入るし、焦りもする。僕には彼の気持ちがすごく分かる。そうだよなって。
野津田に今のモチベーションがある限り、必ずその運動量と左足をチームのために生かせるときが来る。サッカー人生において今が最高のパフォーマンスだって、自分で思える状況を作り出せると思います」
――昨シーズン、1年半ぶりにクラブチームの監督に復帰されて、「現場に戻れて幸せだ」とおっしゃっていました。とはいえ、結果が出なければ叩かれる職業でもあります。改めて監督業の奥深さや魅力をどう感じていますか?
「選手たちとともに日々トレーニングを積み、彼らが成長することに少しでも関われたり、チームが進歩していく姿に充実感を持てたりするのは、何物にも代えがたい幸せというか。もちろん、結果が出なければ、メディアやサポーターから厳しい言葉をぶつけられることもあるけれど、叩かれる立場にいれることの幸せというのも、去年は感じていたかな。外から眺めているより、当事者でいられることの幸せというかね。
監督業って本当に、山あり、谷ありの仕事だけど、応援してくれる人たちと一緒に喜び合えたら、こんなに幸せなことはないし、みんな育ってきた環境は違えど、素質を備えた選手たちが挫折を繰り返しながら激しい競争を勝ち抜いてプロになっている。そんな選手たちと日々格闘できるのも、本当に幸せ。だから苦しいのは、叩かれることじゃなくて、さっきも言ったけど、そんな選手たちを選ばないといけないこと、外さないといけないこと。そこくらいだよね、本当に辛いのは」