プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人は「恐怖」でチームを劇的改革。
“鬼になった”原監督の采配とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/04/01 16:00
叱る時は叱るが、褒める時はその何倍も笑顔で褒める原辰徳監督。3月30日の広島戦、試合後の選手を労うシーン。
「巨人が変わる」ことを示した。
いい悪いとかではない。
選手を信用し、ある意味では選手に試合を委ねてきた、昨年までの高橋監督の采配とは明らかに違う。ベンチが選手を動かし、必要な局面では全ての責任を負ってベンチが選手を支配する。
そういう原監督の野球を開幕2戦目で選手たちに明示した。
巨人が変わる――そのことを示し原監督の意思を選手とチームに染み渡らせた。それが容赦なく主力中の主力である坂本に出された送りバントのサインの持つ意味だったのである。
原野球とは、ある意味、選手にとっては勝つために恐怖にかられる野球でもある。
「それは選手が感じることだからね。選手同士で伝わっていくことだし、僕が意識することではないと思う」
4年ぶりの監督復帰に際して、選手の受け止め方を聞いたときだ。
「選手は怖がっているのではないか?」
非常に直接的だが、こんな質問をぶつけると原監督は笑いながらそう答えた。
ただその一方で監督という職業の信念として勝つためには「あるときには鬼にならねばならないときがある」とも言い切る。
妥協なく勝利へと突き進む巨人へ。
前回の監督時代をつぶさに体感してきた坂本やその他の選手たちは、その鬼となった原辰徳を知る。激しい勝利への執念故の怖さを知る。
だからチームは妥協なく勝利へと突き進むのである。
前回を知らずにその“恐怖”を初めて体感したのが、実はアレックス・ゲレーロ外野手だった。