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巨人は「恐怖」でチームを劇的改革。
“鬼になった”原監督の采配とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/04/01 16:00
叱る時は叱るが、褒める時はその何倍も笑顔で褒める原辰徳監督。3月30日の広島戦、試合後の選手を労うシーン。
監督の呼びかけに笑顔で応える選手。
開幕戦では相手が右投手の大瀬良大地投手ということで先発を外れたが、第2戦で「6番・左翼」で起用されると、3安打4打点の活躍で指揮官の1273日ぶりの勝ち星の立役者となった。
第3戦では、1点を先制された直後に流れを引き戻す貴重な2ランを放った。
「与えられたチャンスを生かす。それだけだ」
第2戦の試合後のマツダスタジアムの通路。報道陣に囲まれて殊勝に答える横で監督がこう叫ぶ。
「アレックス!」
その声にゲレーロが嬉しそうに笑顔を見せる。まさに指揮官の思う壺なのである。
鬼監督となって、結果を出す。
「選手を信頼はするけど信用はしない」
師と仰いだ藤田元司元監督から受け継いだ選手の操縦術だった。その藤田監督も底知れぬ怖さを持った監督だった。そして藤田監督だけでなくV9の名将・川上哲治監督もそうだし、西武の黄金時代の礎を作った広岡達朗監督もそう、そして近いところでは中日、阪神、楽天で優勝を果たした星野仙一監督もそうである。
名将はみんな“恐怖”で選手を支配してきた。
原辰徳も然り。
2019年。恐怖の監督が巨人に降りてきた。そして2017年の7月以来、2年ぶりに鬼門だったマツダスタジアムの連戦で2勝1敗と勝ち越したのである。