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ドバイと重なってもGI馬が8頭。
大阪杯の肝は「サンデーとの距離」?
posted2019/03/30 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
第63回大阪杯(3月31日、阪神芝内回り2000m、4歳以上GI)は、8頭のGI馬が顔を揃える豪華メンバーとなった。GIになって3年目。1年目はキタサンブラック、2年目の昨年はスワーヴリチャードと、春の中距離王決定戦に相応しい名馬が勝っている。ドバイワールドカップデーと日程が重なりながら、これだけの一流馬が出走してくるのだから、GI格上げは大成功だったと言えるだろう。
それはいいのだが、今年の出走馬14頭すべてにサンデーサイレンスの血が入っているという偏り方を、どう見るべきなのか。
日本の生産界におけるサンデーサイレンスの血の飽和状態を象徴するメンバーとなったのが、オルフェーヴルが三冠馬となった2011年のダービーだった。出走馬18頭のすべてがサンデーサイレンスの孫だったのだ。かつてリーディングサイアーとなったノーザンテーストも、テスコボーイも、ヒンドスタンもなし得なかったことである。
短距離とダート以外はサンデー一色。
ちなみに先週の高松宮記念は、掲示板に載った5頭のうち、1着ミスターメロディ、3着ショウナンアンセム、4着ダノンスマッシュ、5着ティーハーフが非サンデー系だった。
先月のフェブラリーステークスでは、掲示板に載った5頭のうち、1着インティ、4着モーニンが非サンデー系。
とはいえ、これらの馬も、ミスタープロスペクターかノーザンダンサー、あるいはその両方のインブリード(近親交配)という偏りが見られるわけだが、ともかく、芝の短距離とダート以外では、「サンデーサイレンス系が強い」というのを通り越して、「サンデー一色」と言っていい状況になっている。
平成の日本の競馬界は、サンデーサイレンスの血を濃くしながら全体のレベルを高め、世界に追いつき、追い越そうとしてきた。
平成最後の大阪杯は、それが非常によくわかるメンバー構成の一戦になった、と言うこともできる。