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レフティーながら右WBで抜擢された、
セレッソ舩木翔のプロ3年目は転機。
text by
小田尚史Hisashi Oda
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/27 07:00
攻撃的なレフティーはいつの時代も希少価値を持つ。ロティーナ監督のもとで舩木翔は成長を遂げられるか。
出場機会を求め、移籍も考えた。
今季を迎えるにあたり、舩木には、移籍という選択肢もあった。目指す目標へ近づくため、どの道を選ぶのがベストなのか。胸中は揺れたが、「セレッソに残ると決めてからは、『移籍していたら良かった』という気持ちは捨てている」とキッパリ語る。
「セレッソでマルくんと競うことが、どのチームへ行くよりレベルは高いと思った」
残った理由の1つとして、アカデミーの先輩で、同じ左サイドバックの分厚い壁である丸橋祐介の名前を挙げた。
「Jリーグ全体を見ても、左サイドバックとして毎年、結果を残しているし、攻撃的なプレーは自分も目指すところ。近くでプレーを見ることができる分、盗めることも多い」
丸橋に「スピードで劣る」と認識している分、「判断やゲームの作りで上回っていくこと」を自らに課している。
悔しい経験をしたU-20W杯。
高校3年時の高円宮杯プレミアリーグWESTでは、サイドバックながら10得点。“超攻撃的左サイドバック”として異彩を放ち、鋭いキックを買われて、'17年にセレッソ大阪U-18からトップ昇格を果たした。ルヴァンカップのグループステージ第1節でプロデビューを飾った舩木は、自身が蹴ったCKから2得点を導くなど、カップ戦での出場を重ねた。
1年目からプロとして濃密な時間を過ごす中で迎えたU-20W杯。
初戦の南アフリカ戦と第2戦のウルグアイ戦に先発するも、ウルグアイ戦では守備対応に課題を残し、第3戦のイタリア戦は杉岡大暉(湘南ベルマーレ)にスタメンを奪われた。延長戦の末に敗れたラウンド16のベネズエラ戦もベンチを温め、悔いが残る形で大会を終えることになる。
帰国後、大会で得た課題と収穫を次のように話した。
「最後の試合までピッチに立っていられなかったのが今の自分の実力。DFラインとGKの間へ送る速いクロス、動きながらダイレクトに入れるクサビなど、通用したプレーもあったけど、最後まで出られなかった一番の課題は守備。ウルグアイ戦でも自分のところから失点した。寄せの部分など守備の能力を向上させていかないと、J1でも試合に出られない。
攻撃でも、もっとミスを恐れずにやっても良かった。U-20W杯で世界を経験して差を感じたので、(東京五輪までの)3年間でどこまで詰められるか。守備力を向上させるとともに、誰にも負けない武器を身に付けたい。具体的には、ビルドアップやシュート、クロスをもっと磨いていきたい。ここからはチームで目に見える結果を意識していきたい」